NARUTO
二
人気なら騒がれるのは仕方が無い。
黙らせるのだって、場所が図書室だから当然の事。
ならどうして他の人がやりたがらないのか。
性格が黒いとは、人使いが荒いだとかサボルだとかで?
アプリゲームをやりながらちゃんと考えていたナルト。
ただ
言われた人の名前をナルトは知らない。
ナルトは中学三年の三学期に外部入学をした。そのまま高校へ進学をしたのでまだ知らない事だらけ。
「んじゃダッシュな!」
『おーけーおーけー!』
ジャージに着替えたナルトは、校舎の角までのダッシュ競走をするのにストレッチをした。
「負けたらジュース奢りな!」
「俺梅よろし!」
『・・・俺ジュースよりドルチェマキシムのバニラがいい』
「「高級アイスだろうが!」」
きにくわねえ!タックルを受ければもう一人からもくらい、げらげら笑うナルト。
「んじゃいくよー」
皆河が手を前に出して合図を送れば、三人は一斉に走り出した。
三人とも学年で速く、一人は現役陸上部とバスケ部。
ナルトは元からのものだが、活発で良く走っていた。
「あれ・・・やべぇ!」
「は?どうし・・・げっ!」
二人は何かに気付き減速するが、ナルトがそれに気付くのは遅かった。
『やっべ・・・っ!』
前方に人が歩いていて、ナルトは緩めようとしたが、ナルトに気付いた生徒は一瞬目を丸くする。
『あぶ、な・・・いおっ?!』
腕を掴まれ靴が滑りバランスが崩れた。
『あ・・・りがと・・・っ』
ナルトのもう片方の手は地面について下から身体を支え、足は相手のを挟むように止まった。
「・・・大丈夫か?」
『へ、いき・・・うわっ!』
ぐん、と勢い良く引っ張られ立ち上がる。
ネクタイを見て学年が一つ上だとナルトは気付いた。
黒い髪の毛はハーフアップにしていて少し着崩した制服。
「気ぃつけれよ」
『ぶつからなくて助かりました。』
ありがとうございます。
頭を下げて二人の方へと走っていた。
「あれが・・・渦巻ナルトか」
呟きは風と共に流れ消えた。
「大丈夫だったか?」
『いやー、あの人力あんのなー。』
助かった助かった。
半笑いを浮かべるが、二人の表情は少しぎこちなかった。
集合をかけられナルトは階段を使わずそのまま飛び降りた。
「何無茶やってんだ!」
『へーきへーき!』
にししっと笑いながらブイサインを作ると、皆河は嘆息をこぼす。
天真爛漫なナルトは明るくて人懐っこい性格で、ノリの良さもよく、何時も笑っている印象を与えやすい。
『全部倒せばいいんだな?』
「そうだナルト!あのハードルは全部倒してタイムを計る競技なんだ!」
屈伸を始めたナルトの背後で、腹を抱えながらも笑い声を抑えるクラスメート達。
ナルトは帰国子女でもあり、日本ではこう言う競技があると言われ信じてしまった。
『ぶったおーすっ!』
ナルトは張り切って走りハードルを倒していけば、背後からは爆笑する声とそれを叱る教師の怒号。
『テメー等待ちやがれーっ!』
猛ダッシュで走り戻ると散り散りに別れるクラスメート達。
『取り敢えず大橋ぃぃっ!』
「ぎぃやぁぁっ!」
近くにいた生徒に向かって走り焦る生徒だが、ナルトの目は細まり砂埃を立てながら方向が変わった。
『・・・と見せ掛けて宮沢ぁぁっ!』
「かかって来いやぁぁっ!」
ファイティングポーズをとる宮沢に、ナルトは腕を伸ばしてエルボーを食らわそうと突っ込む。
『てんちゅ・・・うぇっ!』
繰り出した腕は当たる前にナルトの身体が後ろへ引かれた。
「はいどーどー」
『俺は馬じゃねぇっ!』
終始傍聴していた皆河の腕がナルトの腹に回り止まる。
「何でもかんでも、騙されるナルトが悪いんだって。」
『あーもーっ!!』
バタバタする足は、地を蹴ってはおらず宙を漂っていた。
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