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NARUTO
段差の正しい使い方

自分はグー。相手はパー。

ナルトは握りこぶしを作ったまま床に膝をついた。

「んじゃ決まりだな。」

『いやだぁぁぁっ!』

頭を抱え悲痛な叫びを出すナルトに、綺麗な放物線を描いたようにチョークがスコーン、と頭に当たる。

「叫ぶなナルトォッ!」

担任のイルカに怒鳴られても言い返して来ない。

『ねる・・・絶対寝ちまうってばーっ!』

しまいには突っ伏す始末に、周りは呆れるしかない。

「まーまーナルト、簡単なんだからそう嫌がんなって!」

『ならお前が代わればいい話しだろうが・・・』

あぁ?どこの不良だと言えるように凄むナルトに、クラスメートはにっこり笑う。

「うん、ヤダ。」

『皆河ぁぁっ!』

「やかましーっ!!」


イルカの怒声が廊下にまで木霊した。

何の話し合いをしているかと言えば、委員会決めで、ナルトはじゃんけんに敗れた。

「図書委員いいじゃん」

『だから代われって言ってんだろうが』

そう言って何故代わらない。

ナルトは読書嫌いではないが、眠気を誘う空気が嫌で。

「ほんと・・・興味無いとこうも知らないとはねぇ」

困った顔で笑う皆河と、頷く周り。

「図書委員ってさ、奈良先輩がいんだよ。」

『・・・は?』

耳に手をやり聞き返すが、気に食わなかった皆河は臑を蹴った。

『いぃっ・・・て・・・っ!』

相当痛かったらしくナルトは生理的な涙を滲ませる。

「人気生徒なんだよ、その人。」

『誰か代われ!今すぐ代われ!』

憧れを持っているなら尚更美味しい話しを、誰ひとりとして名乗り出ない。

ナルトはそれが不思議で仕方が無かった。


『何で嫌がんだよ・・・?』

「人気でも性格が黒いから。」

何だよそれ。ナルトは項垂れるしかなかった。

「憧れや好意を持ってる奴ばっかでさ、純粋に本が好きで通ってる生徒や先輩方からすれば、迷惑でしかないんだ。」

煩くて集中出来ない。ナルトはそれだけは理解できた。


『でも俺がなるより他の人が良くね?』


「無理なんだって。」

ため息混じりに返された言葉がナルトには理解出来ない。


「誰もいねぇもんよ、やりたがる奴。」

『・・・・・・』

ナルトは考える事を止めた。

止めて、逃避するよう携帯アプリゲームをやり始めた。

「ナルトさん?」

『今日のボーナス何だろうなぁ・・・』

あはははは。あの時チョキを出していれば、自分は体育委員だったのに。

「もっしもーし!」

『うるさい皆河!俺は今ダークネスドラゴン討伐するんだからっ!』

「完璧現実逃避じゃねえかよ・・・」

皆河ふくめ、クラスメート半数以上が同情の眼差しを向けた。




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