[携帯モード] [URL送信]

NARUTO
四 

暖かくて柔らかくていい匂いに包まれて、眠っているナルトの表情は和らいでいた。

朝から女子のきんきん声や、教えなかった事に対しての豹変する姿と声に

ナルトも女は面倒だと実感してしまう。

もぞり、動いた手は鎖骨をぽりぽり掻いた。

ネクタイを外して更に寛げさせたシャツは、きめ細かい肌が良く見える。

血色のいい象牙色の綺麗な肌は両親に似て男女問わず羨ましがられる。

この金髪も、空のように綺麗な碧眼すらも。

だからと言って英語は流暢なんかじゃない。

『・・・んー・・・』

ぼふり、羽毛布団を抱きまくらのように挟み込んで寝返りをうった。


「あぁ?四日前に買ったのもうねぇってか・・・?」

「らしいな。学校でもああだったんだろうよ」

薬研の中に生薬を入れて砕いていくのをシカクはじっと眺める。

「五苓散(ゴレイサン)か?」

「丁度いいだろ、今のアイツには。」

頭痛に眩暈に良く出される漢方薬の一つ。

「・・・神経使ってたんだろうよ」

薬棚から違う生薬を取り出し図り、潰していった。

「わりぃ、桂皮40グラムくれ」

ずらりと高く並んだ木製の薬入れは、一つずつ生薬が分けられていて、二人は此処で作業をしている。

大昔からある物は、今でも使われ時代毎に形も変わっている物もある。

それを時々懐かしむ人を、どれだけ見ただろうか。

今はもう親しまれなくなった薬達。

けれど生薬は、漢方が良く効くと言われてきた。

゙俺のシカマルー゙

愛着を持って呼び名を付ける者もいる。

「見て来なくていいのか?」

「・・・そうする」

すっ、と立ち上がってシカマルは調合部屋から出て行った。

シカクはふっ、と口角を上げて笑う。

「何だかんだで、気に入ってんじゃねえかよ・・・」

ごりごりと薬研を上下に揺すり生薬を押し潰した。


ひやりとしたのが触れたのと、シナモンのような香りがして瞼を震わせた。

『・・・っ、な、に・・・』

ゆっくり開いた世界に写ったのは、シカマルの姿。

「少しは良くなったか?」

『・・・・・・あ。』

間を開けて思い出したかのようにナルトは起き上がる。

ぼーっとした顔でシカマルを見上げ口を開いた。

『とっても気持ちよかったです・・・』

ぺこり、と頭をさげればシカマルはくすりと笑う。

「布団抱いて寝るぐらいよかったか?」

『ん・・・いい匂いして気持ちかった』

ふにゃりと笑んでナルトはあれ?と首を傾げれば、頭が軽くなっているのに気付く。

『頭・・・軽い』

「そりゃ良かったな」

『ありがとうございました。』

もう一度頭を下げてから乱した布団を直す。

いい匂いに包まれると良くなるのか。一人納得してベッドから降りた。

「一応薬湯持ってけ。」

『うぅ・・・っ』

手渡された頭痛薬と薬湯の素を貰えば、ナルトはがくりと肩を落とす。

「ナルト、シカマルがシカマルを作ったんだからちゃんと飲めよ?」

からかうシカクに彼は顔を顰めて、うぜぇ、と呟きナルトは見上げる。

『お兄さんが作ったの?』

「あ?まあな、大学そっちだし。」

一回分ずつ分けられている包みを見て、口許が緩む。

自分の為に作ってくれたんだと分かって。

『お兄さんありがとう!帰ってからちゃんとシカマル飲むから!』

「・・・紛らわしい」

はい?シカマルの呟きが聞こえなかったのは、シカクがげらげら笑っていたから。

元気になったナルトは帰宅し、シカマルは笑う父親をぎろりと睨む。

「何時まで笑ってやがんだ」

「シカマル飲むって・・・下ネタっぽ・・・あでっ!」

やかましいわ!げしっ、と父親の背中を足で踏み付けた。




[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!