[携帯モード] [URL送信]

NARUTO


発信源が誰なのか解らず俯いた。

「カカシが言ってた」

『・・・カカシ先生?』

誰にも告げていない事を何故カカシが知っているのか不思議で、首を傾げて考えた。

『俺・・・誰にも言ってねぇのに?』

「父親と知り合いでこの前会ったら・・・」

あー!ナルトは言葉を遮り脚をばたつかせて納得すれば、腕の拘束が取れた。

『父ちゃん何か半ベソで帰って来て、抱き着いて離れなかったんだよなあ・・・』

そうだったのか。起き上がり一人納得顔を浮かべるナルトだが、サスケは手に持っていた物を眺めた。

「リップ、どうした」

『買った。でもこれダメ』

ひりひりすんの。

リップクリームを指先でころころ転がすと、ぬるりと唇にあたり肩を震わせる。

『う、な・・・っ!』

「顔に着くぞ」

リップクリームだった。

仄かに蜂蜜の香りがして、不思議な感じがナルトの気持ちを和らげた。

「荒れてる時にんなもん塗るな。」

『知らないからしゃーないって』

蜂蜜の香りがしてナルトは思わず舌先を出して口端を舐めた。

『お、蜂蜜の味もするー』

「舐めるなウスラトンカチ」

出たよそれ。うんざりした眼差しを向けると、指を曲げた背がナルトの口端に触れる。

「・・・取れただろうが」

『・・・貸して?』

手を差し出して首を傾げるナルト。

ポケットに入っていたリップを取り出し蓋を開ける。

「やだね。」

『・・・度量ねぇ』

見せ付けるようにリップを塗る姿に、ナルトは飽きれ顔を浮かばせた。

「留学する必要ねぇだろ、お前なら」

『二重生活じゃん』

話が戻ると気分が滅入ってしまう。

「ほんとお前・・・」

『なんだってよ』

また貶すのか。見上げた男は、逆光にその影を濃くしていたのは近いせいでもあった。

『・・・むっ?!』

ぬるり、互いに塗ったリップの感触が唇に当たった。

「・・・留学はする必要もねぇし、バイトもある」

離れた唇から次がれた言葉よりも、キスされた事にナルトの思考が戻ってこない。

「・・・ナルト?」

いつまでも固まったままの姿に、サスケは口角をあげてもう一度口づける。

『・・・ん?!さっ、んーっ!』

啄まれやっと我に帰るナルトだが、されたままで頬を染めた。

「お前、卒業式に言うとかやめろ」

『・・・へ?』

なにを言う。全く理解できない言葉にサスケを見れば、顔を顰めていた。

「だから鈍感馬鹿だって言われんだ、ウスラトンカチ。」

『誰が鈍感馬鹿のウスラトンカチだっ!』

おまえだろ。顎を持ち上げられ見下ろしてくるサスケに、ナルトは痛いくらい頬を赤らめる。

「お前が俺を好きな事ぐらい知ってんだよ。」

『・・・俺今から留学手続きとパスポー・・・どわぁっ!』

そそくさ逃げようとするが、彼はまるで猫を捕まえるよう首根っこをがしりと掴む。

「バイトは俺の家の住み込み家政婦ならあるが?」

『なっ、だよそれ・・・っ』

勝ち誇った笑みが腹立たしくて、でも恥ずかしくも嬉しくて。

「・・・どうする?」

顎の下を撫でられ、ナルトは俯く。

『・・・住み込みは駄目。』

「・・・は?」

冷めた目でナルトを見下ろすと、耳まで赤かった。

『だってそれ・・・同棲みたいで破廉恥・・・っ』

羞恥すぎて両手で顔を覆うナルト。

うぶ過ぎる反応にサスケは一瞬目を瞠るが、和らぐ。

「破廉恥って、破廉恥な事を想像してるから出る言葉だよな?」


『そ、だって何か・・・見てらんねぇ』

覆ったまま頭を振る姿にサスケは意味が通じなかった。

「・・・解りやすく言え」

『おはようからただ今までハグ&チューすんだろ?そんで座ったら手繋いで膝抱っこしたりして、風呂一緒に入ったり息子の前で平気にキスしたりす・・・』


「落ち着け・・・」

どんな夫婦だよ。呆れ顔を浮かべるが、それはそれでいい情報が入った事に変わりは無い。

「つまり俺とナルトがそれをすると・・・」

『それが普通なんだろ?!』

普通じゃねえよ。サスケは蟀谷を押さえてどういいように返すか迷う。

「それは二人の仲がいいって事だろ?」

『・・・うん』

こくりと頷けばサスケは肩に手を置いた。

「なら俺とナルトがそれをしても良いって事だ?」

そうなの?そう言いたい眼差しを向けるナルトにサスケの口元が笑う。

「・・・ナルトが俺を好きならな。」

『うぅ・・・』

かああ、と頬が染まり俯いた。

「どうなんだ?」

静かに尋ねると、ナルトはサスケの指をきゅっ、と掴んだ。

『好き・・・だってばよ』

「・・・当たり前だ」

微笑み優しく抱きしめた。

荒れていた心は静まり

荒れている唇は

「リップ取れちまったな」

『あー・・・塗って?』

傾げて告げれば顰めた顔を浮かべるサスケ。

けれど手にはリップクリームが握られていた。

荒れたら塗って、唇を重ねて塗りあわせて。

少しずつ荒れた唇も良くなっていった。




[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!