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NARUTO
振り向くと

いつも口元を隠して、見てみたかったけどそれは叶わないまま時は流れていった。

誰かに見せているであろうその姿を、ナルトは考える度に胸が痛くなる。

きっとそれは、仮に見れたとしてもこの胸の痛みは消えないだろう。

「ナールト、何胸に手当てて考えてんの?」

ひょこりと覗き込んで来る、優しい眼差しが

「ナルト?」

優しく告げる声が

『・・・痛かっただけ』

へらりと笑えばカカシの瞳が一瞬だけ細まった。

「痛いってどうしたの?」

『たまにない?急に吸い込んだりしたら心臓が痛くなるの』

ああ、納得するカカシにナルトは誤魔化せられたと思った。でないと他の言い訳が思い付かないから。

「背負ってあげようか?」

『あっははははははっ!カカシ先生大丈夫だって!』

いたい
いたい

優しいものすべてが。

「前背負った時は重くなったなっておもったんだけど、ナルト最近痩せたでしょ?」

『えー・・・そう?』

ぺたぺた自分の身体に触れるが、そんなものは解らない。身長が伸びたぐらいで。

『ま、スリムって事じゃん!』

じゃあね。手を振って歩き出した。カカシに背を向けた途端、ナルトの表情は悲しみを浮かばせて。

何気ない優しささえ痛くて、どうして好きだとおもうのか。

されればされる程、好き。

されればされる程、痛い。

痛くて、苦しい。

ずしり。重たいものが背中全体にのし掛かって前屈みになった。

『うおっ!?なん・・・っ』

振り向こうとする前に鎖骨に見えたものが手だと気付き表情が固まる。

見覚えあるそれはカカシのであり、耳元に吐息がかかり肩をすくめた。

「ナルト、本当に痛いの・・・?」

『今は痛くないから、だから離れ・・・っ!』

高鳴る胸の鼓動に気付かれたくなくて身体を身じろぐが、強く抱き締められた。

「ねぇナルト・・・?」

『・・・っ、くるし、てば・・・っ』

頬に熱が集まってきて、力む声で告げたがそれは解放されない。あろう事か、肩に顎を乗せてきた。

「先生さー、実はナルトにお願いがあるんだよね」

『んなっ、なんだって・・・ちょ、離せってば・・・っ』

この拘束から逃れようと自由な脚を使って前へ踏み出しても、彼の力には叶わない。

「お金貸して。今貸して。」

『はぁぁっ?!カカシ先生そこは普通取りに戻るも・・・っ!』

呆れ顔で振り向いたらにっこりと瞳を笑わせていたのに、ナルトは言葉を無くしてしまう。

「・・・あ、ナルトまつげ付いてる」

『・・・睫毛?』

どこだろうと服で拭おうとするが、両腕が拘束されたままで中々出来ない。

『カカシ先生手邪魔!』

「あーはいはい。そっちじゃないって」

こっち。振り向かせられれば視界に影が出来、柔らかなものが唇に触れた。

『・・・・・・っ!?』

唇が重なっている事に気付きナルトの目は見開かれ、端正なカカシの顔が視界に広がる。

一気に熱が体中にはしり、ナルトは両腕に力を込めれば後ろ髪を下へと引っ張られ顎が上へと上がった。

『んんっ、いっ、あっ!』

ぬるりと入ってきたカカシの舌はナルトの喉を舐めるように奥まで入り込む。

たったそれだけで息苦しくなり、ナルトの膝が曲がる。

『や、むぅ・・・ふぁ、あ・・・』

まるでそれを待っていたかのようにカカシはナルトの体勢をを変え、塀に押しやり脚の間に己のそれを割り入れた。

『んっ!せん、せ・・・ふぅう・・・っ』

「・・・まだだ」

目を眇めて口元を笑わせたカカシの低い声がかけられる。

滲む世界で見えたのは、マスクを下げているカカシの姿。

『なんでこんなこと・・・すんだってばよ』

「もう良いかなって。」

もう黙って。また重なった唇はゆるく啄まれ、舌を吸われる。

くちゅり、と鳴る互いの音がいやらしく聞こえナルトは瞼に力をいれ更に強く閉じようとした。

「・・・不細工」

『・・・っ、不細工で悪かったな!』

唇が離れふ、とからかい笑う彼にナルトはむきになる。

「ねえ、痛いの、治った?」

『・・・カカシ先生の直し方って、そうやってるんだってのがよっ、く解ったってばよ。』

男も女も関係なくしているんだ。

それだけで気分が落胆し、胸が抉られたような痛みがした。

「馬鹿だね、先生は誰彼構わずキスなんかしないよ。」

『いました。』

彼から顔を逸らし泣きそうな顔で歪めた。どこかに力をいれてなければ泣きそうで。

「したよ。ナルトだけにしか先生しないもの。」

『・・・嘘くさい。』

言葉だけならなんとでも言えるし、誤魔化すのが上手なカカシ。

信じて傷付くのが嫌で、すんなりと認められない弱気な自分に、カカシにはどう写っているのだろうか。

「マスク越ししかしないよ、先生。」

『・・・・・・。』

頬を指で撫でられ、その優しい声音が怖かった。

「・・・ナルトが好きだから。」

『・・・・・・っ、ずりぃよそれ』

カカシの肩に顔をつけ、ナルトは涙を流した。




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