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NARUTO


時々外でシカマルと出会うようになったナルト。

途中まで歩きながら話して笑ったり。

そんな事をしていたら、当然知られる訳で。

「渦巻君あの恰好良い人と知り合いなの?!」

『・・・・・・。』

こうなってしまう訳で。

女子から聞かれそれを聞いた女子が、そんな芋蔓式のようになっていた。

「ねえ、名前教えて?きっと大学生なんでしょ?!」

「彼女とかいるの?ねえ教えてよ!」

ぎゃいぎゃい言われて最近ではナルトの頭痛が毎日。

甲高い声や噎せてしまう香水や甘ったるい匂いも、原因だった。

「黙って無いで教えてよ!」

『・・・うるせえ』

苛立ちの声は冷たく、低い。それだけで女子は怯んでしまう。

『毎日取っ替えひっかえ・・・静かに喋れねえのかよ』

蟀谷(コメカミ)を強く押してナルトは溜め息つく。

「教えてくれないからでしょ!?」

『相手の迷惑って考えた事あんの?意味わかんねえなら辞書で調べろ・・・』

いらいらする。

ナルトは舌打ちをして教室から出て行った。

教えたら、それは薬局にまで蔓延(マンエン)して迷惑をかけてしまいそうで。

そうなったらお客さんにまで迷惑をかけてしまうような気がして。

ナルトにはあの薬局が大切な場所であり、薬もそこしか無い物だから。

『あー・・・いてえ』

外の空気を胸一杯吸い込んで、ゆっくり深呼吸をした。

見上げた空は雲がゆっくり流れて、気持ち良さそう。


『バレなきゃいいけど・・・』

何処で見られているのか解らない。

ナルトだってまさか息子が居るとは知らなかったし、あの日初めて会った。


何度も通っていたのに一度も会った事がなかったのだ。


「ナルト、お前大丈夫かよ?」

『・・・出禁にしてくれ』

クラスの男子が心配そうな顔で尋ね、ナルトは机に突っ伏す。

『だいたい、俺だってあんま知らねえってのに・・・』

「名前ぐらい教えてやったら?」

ナルトはふう、と息を吐いた。

『あの人さ、多分面倒な事を嫌いな感じがすんだよ。』

意地悪で教えないんじゃない。

口癖のように面倒くせえ、と顔を顰める姿を一度に何度も見たから。
名前なんて教えたらきっとそんな顔をするだろうし

゙女ってのは本当に面倒くせえ・・・゙

ナルトの頭で、そう呟いていたシカマルの言葉を思い出した。


ずきずき痛む頭は薬を飲んで良くはなったものの

『・・・ねえ』

空っぽです。

最近毎日のように飲んでいて、減りを気にしていなかった。

ナルトは着替えないまま薬局へと向かった。


薬局に着くとナルトは目を疑ってしまった。

『・・・なんで』

場所がバレてしまった事に。

きっと調べたんだろうと、呆れて中へはいった。

「あ、渦巻君!」

「教えてくれなくても見付けれたもんねーだ!」

「そうそう!来ちゃったもんねっ!」

「最初からこうしてれば良かったよねー」


勝ち誇った顔で女子は告げるも、ナルトは再び痛みが増してきて応えずカウンターに突っ伏した。

『・・・ごめん、お兄さん』

「気にすんな、それよりまた頭痛か?」

頭を縦に振れば、頭を撫でられたがシカマルの言葉が上から降ってきた。

「買ってったばっかじゃね?」

『・・・今それ聞くの?』

頭痛の原因達がそこにいんのに。

シカマルを見上げる碧眼はそう彼に告げていて、苦笑を零した。

「渦巻君ここ毎日じゃない?」

「昨日保健室で寝てたよね?」

普通の、気遣う声すら頭に響いた。

『・・・毎日日替わりみたいに煩さくされっからな』

相手を見ずに厭味ったらしい言葉を言えば、周りは気まずい顔を浮かべる。

『こうなんの、分かってたから教えなかったんだけど』

お前らってさ、突っ伏した身体をゆっくり起こして女子達を睥睨な眼差しを向けた。

『相手の迷惑って言葉、本当に知らねえのな。』

くらくらする視界は眩暈におそわれ、身体が傾むくと甲高い声が聞こえた。


『・・・っ、くそ・・・っ』

カウンターに肘をついて倒れるのを免れたにしろ、力がはいらない。

「渦巻君っ?!」

駆け寄ろうとした女子より早く、ナルトの両脇に手が差し込まれた。

「・・・少し休んでけ」

『へ、き・・・っ』

見えねえから。軽々持ち上げられ抵抗しようにも力が入らなくて、顔を顰めた。

「親父、替わってくれ」

「あー?んだよ今・・・ナルトじゃねえか」

近寄るシカクに彼は小さな声で店の説明を簡潔に済ませた。

゙アレ何とかしろ゙

それだけで伝わり、シカクは頭を掻きながら店へと出た。

『おれ、近いから・・・降ろして』

「飲み過ぎたら効かなくなるぞ、ナルトのシカマルはよ。」

からかう声にナルトはむう、と頬を膨らませる。
自分で言うなよ。げしっ、と爪先で彼の脛を蹴った。

いてえよ。喉で笑う声で言われ階段を上がって奥の部屋に入るシカマル。

仄かにムスクの香りがしたかと思えば、背中が柔らかなものに包まれ、シトラスの香りがした。


『う・・・は?』

「ネクタイ外して寝てろ。」

しゃがんでいるシカマルの方に顔を向けたナルトは、まさかと目を瞠る。

『ちょ、俺もうだいじょう・・・ぶへっ!』

「寝ろっつっただろ」

起き上がろうとするナルトを片手で沈め、シカマルは頭をわしわし撫で回す。

「でないとお前のシカマルやんねぇぞ」

『自分で言うなよ・・・』

むすっとした声で返すと、シカマルは鼻で笑う。

それだけでも格好良いと素直に感じた。

「俺の、でもあるからな、アレは。」

『・・・ダブルシカマルね』

うるせぇよ。柔らかな羽毛布団をかけられシカマルはドアを閉めた。

ナルトは一度瞼を閉じて深呼吸をすれば、鼻腔まで入り込む香り。

嫌いな匂いじゃなくむしろ何処か甘く、シカマルみたいだとナルトは感じた。

『何が俺のシカマルだ・・・俺のだ』

名付け親は俺だし。

仄かに桜色になった頬の熱は、頭痛のせいにして、ナルトは瞼を瞑り眠った。




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あきゅろす。
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