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NARUTO


花火の音と、カカシの体温を感じて胸の前に組まれている手に触れた。

『俺は入らないで先生の所に行くってば』

「あー、ナルトはそうだね。」

砂埃を浴びていようが、汗臭かろうが。

『俺カカシ先生みたいに頭が大人じゃねえよ。』

「そお?」

『だからさ、会いたいの我慢して風呂を先に入るより、先に会って一緒に入ったりした方が俺は嬉しいから。』


ぴくりとカカシの腕が震えた。

「ずいぶん誘うの上手になったじゃないの」

『誘ってねぇよ、この変態!』

憎しみを込めて爪先を踏み付ければ、声を潜めるカカシ。

「・・・痛いです。」

『そう言うの抜きにして考えれよ大人のくせに。』

「知ってるよ、ナルトが一緒に居たいっていう気持ち。」


ぽすり。肩に彼の額がくっついた。

「知ってるよ、ナルトが我慢して平気な振りをしているのも。」

『・・・・・・。』

じわりと瞳が潤んできたのは、嬉しさからなのかそれとも言われてしまうと思ったからなのか。


「俺だってね、ナルトと浴衣着て歩きたかったんだよ。」

なのに、声が低みを帯びて冷たさが混じった。

「どっかの誰かが怪我なんかしたせいで、俺が老人倶楽部の引率をしなくちゃならなくなるだなんて・・・っ」

忌ま忌ましい、怨みを込めた言葉にナルトはただ目を丸くしていた。

「いつもと違う髪型して、イカ焼きだの綿飴だの・・・しまいにはこんな格好で弓当てしてる子がいたわけよ。何この露出は」


『・・・っい!』

強引に顎を彼の方へ向けられ、鋭い瞳と重なった。

「なあ、ナルト?」

『いっ、いたら何で・・・っ』

誰も気付かなかった。冷たく光る眼光から目を逸らす事が出来ない。

「お前と二人で行くって約束しただろ」

『・・・っ、んぅっ!』

噛み付くような口づけをされ、バランスを崩してしまった。

抱き抱えるよう変えられて、口づけは深くなる。

絡み付く舌先から逃れようとすればそれを吸われ、甘く噛まれる。

経験豊富なカカシに勝てるはずもなく、かくり、と膝が曲がる。

「なにへばってんの」

『ち、が・・・あぅんっ!』

くすりと笑われからかわれ、反論するもそれすら許されなかった。

力の入らなくなった下半身を支えるよう彼は腰を強く引き付け、支える。

技術も力もカカシの方が上で、胸元を掴む事しか出来なかった。

「こんな姿大多数に晒して、なにしてんの」

『こ、どもが・・・っ、ぶつかったか・・・っ』

それでも降ろしてろ

解らせるようにするりと腿を撫でた。

『っあ!や、だ・・・っ』

「こうなってたかもね、解らない所で」

ひやりとしたものが全身を駆け巡った。

そんなの考えてもなくて。


「花火、どうして見なかったの?」

楽しみにしていたのを知っていたから。

瞳や唇を濡らし、荒い呼吸をするナルト。

『花火は・・・先生と見たかったから』

「・・・・・・。」

瞳をさ迷わせながら伝えた言葉はカカシを黙らせた。

同じだったのだ。カカシも花火はナルトと見ようと思って。

怪我をしたのはガイで、花火なら大丈夫だと言われていた。

だから終わらせて行けばナルトの姿が無く、探してしまった。

「来年は、浴衣着て花火見よう」

『みれるの?』

一年先の先約は、果たされるのかすら解らない。

「当たり前でしょ、ナルトを優先するんだから。」

『・・・・・・っ!』

聞かれてたのか。頬を赤くして顔をそらした。

「優先しようにも、すれ違いが多いからね」

こっち見なさいよ。

反らした顔を戻そうとするが、俯かれた。

「そうそう、先生明日お休み貰ったんだよね、誰かが休みだから。」


『うぅっ』

大きな独り言を言いはじめ、ナルトは眉を寄せ唇を噛んだ。

「どーしよーかなー、先生暇だなー」

『ちょうだい・・・っ』

んー?聞こえないふりをする彼にムカつきはしたが、ナルトは堪えて見上げた。

『そのやすみ俺との時間にちょうだい!』

「もっちろん」

ふわりと笑み頬にキスをした。

「それじゃあますば・・・」

『・・・へ?』

簡単にナルトを横抱きにするカカシ。

「風呂に入る前に浴衣脱がさせてもらおうかな」

『なっ!・・・っ、アホッ!』

さらりと告げられ真っ赤になりながら怒った。

けれど、これから過ごせる時間が沢山あるんだと思ったら、嬉しかった。

来年、カカシ先生と夏祭りに浴衣を着ていけますように。

月を見上げてナルトはお願いをした。




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