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NARUTO


前方からきゃあきゃあ騒ぐ声が聞こえて、三人は視線を向けた。

「サスケ君とシカマルじゃない?」

「ほーんとだ、まあそうなるのも解るわ」

『珍しい組み合わせだな。』

確かに。二人は頷いてそっちへ向かって歩いた。

『サスケ、シカマルー!』

騒ぎになっている中で声をかければぴたりと止まった。

疲れた色を浮かべている二人にくすくす笑う。

『なに囲まれてるんだよ』

「好きでそうなってんじゃねぇ」

「あー耳いてぇ・・・」

道が開いて二人はナルトの方へ近づく。

徐にサスケがナルトの髪の毛に触れた。

「自分でしたのか?」

「「私達よ!」」

女子二人が教えると、サスケは指に巻き付ける。

「似合うじゃん、これ」

『・・・』

ふっ、と笑んだがナルトはむう、と口を尖らせるだけだった。

カカシに言われたかった。

けれどその人は任務でいなくて、やはり寂しく感じる。

「カカシ先生任務になっちまったんだよな?」


『うん、だからサクラちゃん達とき・・・うおっ!』

びしゃり、脚に感じた冷たさに驚いた。

「ごっ、ごめ、なしゃ・・・っ」


『あーあ、折角買ったやつ零れちまったなぁ』

ショックで小さな子供はボロボロ泣いている。

同じ目線になって頭を撫でた。

『泣くなって。そこのだろ?兄ちゃん買ってやっから。』

「でも、服よごっ、よご・・・ああぁぁんっ!」

濡らしてしまった事に耐え切れず泣き出してしまった。

「大丈夫よ、怒ってなんかないわよ」

「そうそう、悪くないんだから!」

ハンカチをだしてサクラが涙を拭き

宥めようとイノが頭を撫でる。

『暑かったから良かったし。ほら!』

裾を帯に挟んで膝上まで捲った。

泣いている子供を肩車をして、歩きだす。

『謝ったんだから泣くなって。これだろ?』

「う、うん・・・っ」

同じ物を買ってやり、親は?と尋ねたら直ぐに見付かった。


膝上まで捲って歩いているせいで、男っぽくないすらりとした膨ら脛が目立つ。

少し股を開けば浴衣の合わせ目から覗く太股。

見えそうで見えない。

男ではあるが、色気の増したナルトは視線を集めてしまう。

『あー!俺これやりたい!』

「弓当てか」

勝負勝負!男三人で弓当て勝負が始まった。

『・・・って邪魔くせえ!』

浴衣の袖を捲り入れて腕を出して弓を構える。

脚も腕も露出した姿。

男二人は密かな溜息をこぼす。

(このウスラトンカチが)

(相変わらずの鈍感天然記念物かよ)

これにはどうする事も出来ない。

言った所でそれは二人といるからだと言われる始末。

『あーっ!真ん中からずれた!』

「ウスラトンカチめ」

ぱす、と中心にあたるサスケにナルトはむぅと口をへの字にした。

「まあ・・・簡単だな」

・・・・・・。』

シカマルの言葉にナルトは何も言い返せれなかった。


弓との相性はわるそうだ。そんな理由をつけて弓当てを終えた。


充分食べて遊んで、ナルトは花火を見ないで帰宅すると別れた。


花火はカカシと見る為に取っておきたくて。

何か一つ初めてを残しておきたかった。


川のみなもは落ち着いていて、綺麗な月が映っていてしゃがみ込んだ。

『カカシ先生のばーか・・・』

そう言うが、自分と同じ者だっているんだと思うけれど、それはそれ。

『ばーか、ばーか・・・っ』

言ったって無駄なのに。

背後からは花火が上がる音がする。

今日を楽しみにしていた。

カカシと過ごせる時間も二日に一回、三日や四日に一回だったり、七日を超える事だってある。

今日はカカシと過ごせる数少ない催事ではあったが

忍として生きている二人は任務を最優先しなければならない。

けれどたまには

『たまには俺を優先しろっつーの・・・バカカシ』

ぽちゃん。ちいさな水紋を作った。

会いたいと思った時は、任務を早く終わらせたりしても、すれ違う事ばかり。

それでもそんな人を好きになってしまった。

『早く帰ってこーい』


ああ、逢いたい。

けれどそれは叶わないのを知っている。

待っていても、待ち疲れて眠ってしまうから。

『案外来年は・・・見れないかもなぁ』

自嘲的な笑みを浮かべてナルトは立ち上がる。

もしかしたら、ダメになっているのかも知れない。

いや、もしかすれば本当は任務だとしても終わって何処かにいるのかも知れない。

『あーあ。俺が馬鹿だっつーの。』

なんだそれ。

そう感じたら、案外そうなるようにしてるんじゃないか。

ぐだぐだ考えすぎて頭がおかしくなってきた。


『風呂入って寝よう』


「それは困るねぇ・・・」

聞き慣れた声に振り向こうとしたが、抱きしめられた。

『な、にが・・・こまんだ!』

「先生入っちゃったし」

言葉通り嗅ぎ慣れた匂いがした。

『どっかの姉ちゃんと会ったから匂い消し?』

「ん?なに馬鹿いっちゃってるのよ。」

ないよ。耳元で囁かれた。

さっきまでの気分は何処にいったんだ。

ナルトはぎゅっ、と瞼を閉じた。




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あきゅろす。
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