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NARUTO


少しだけ覗いてみよう。親ならばそう思うものは少なくない。

けれど終了の鐘が鳴りナルトは舌打ちをした。

授業風景、みたかった。

壁に手をついて落ち込んでいると、両足にしがみつく可愛らしい腕。

「「おかぁさんっ!!」」

極上の笑顔をナルトに見せるヨリとチカに、頬が緩んでしまう。

可愛くて、可愛くて仕方が無い。

まだ汚れを知らない輝きのある瞳

懐き、抱き着いてくれる身体

怒る事だってある

泣かせる事だってある

お尻を叩く事だってある

けれど幸せを感じさせてくれる者達。

「「おかぁさんどうしたの?」」

『そうそう、二人とも九喇嘛に変化したんだって?』

うんっ!満面の笑顔で頷くヨリとチカ。

『ちょっ、ちょっとおいで・・・』


「「なぁにー??」」

守り神?何それ非公開だったくせに。

だめ?いや、俺の九喇嘛だから。

『ちょっとみして!』

「「うんっ!!」」

印を作って、変化と唱えて現れたのは

真っ黒な狐と金色の狐。

『かっ、かわ・・・っ』

頬を染め口元に手をやり一人悶えた。

「「おかぁさんどう??」」

『ちょーかわいーっ!!』

小さな狐を抱き上げほお擦りするナルト。

くすぐったくてきゃらきゃら笑う。

こんな姿なら収集がつかないのは無理もない。

親ばかなナルトは実感した。

「あ、これ父さんみたらどうかな?」

「・・・チカ、いい考えだ」

にやり、と黒い狐が悪い笑みを浮かばせていたのに、ナルトは気付かない。






『みてみてシカマルゥーッ!』

「・・・・・・。」

事務所にやってきたナルトは終始笑顔を浮かべていた。

両腕に可愛い我が子の姿だが、耳と尻尾姿に変わっている。

「父さんこれ預かった。」

「あ?・・・サンキュー」

「父さん、どうしたの?」

なんでもねぇ、とシカマルは溜息を零した。

やりやがったな。

流し目でヨリを見れば、にやりと笑んでいる姿があり、チカはきょろきょろ見回していた。

ヨリはシカマルに似て

チカはナルトに似ている。

ヨリは五歳にして腹黒スキルを身につけ、時々シカマルに仕掛けて来る。

シカマルがナルトを愛しているように

ヨリも母親であるナルトを愛しているから。


それはチカも同じだが、ヨリの場合はただたんにからかいたいだけ。

男の子は、父親よりも母親が大好きになりやすい。

子供達もまた、シカマルにばかりナルトを奪われたくなくてタッグを組む事が多い。



居なくなった三人を見送ってから、キバは苦笑を浮かべていた。

「つーか昔のお前って、あんな黒くなかったよな」

「ねぇよ、そんなもん」

胸元から煙草を取りだし火をつけた。

持っている方の親指でがりがり、と頭をかく。

「まあ、あったっちゃあったがな・・・」

ナルトに好意を持った時から強くなっていった黒いもの。


「にしてもチカは相変わらず可愛いな。」

「うちの三人は可愛いんだよ、ばーか」


シカマルからすればナルトだって含まれている。

窓の外を見れば、仲良く手を繋いで帰る三人。


シカマルは時々ナルトの両親を思い出し、重ねてしまう。

生きてくれていたら、昔のナルトもああだったのかも知れない。


「おい馬鹿息子」

「・・・あ?」

ずもも、とシカクは腕を組んでシカマルを睥睨な眼差しを向けていた。


「お前、いつ連れ帰ってくんだよ。」

「だから言ってんだろ、週末だって。」

盛大な溜息をはいてシカマルは頬杖をつく。

「遅い、足りない、同居しろ。」

「冗談言うな、同居なんかするかよ。」

ナルトと過ごす時間が少なくなる。

「大体同居ってなんだよ、同居って・・・」

「そのまんまだろうが。」

呆れてしまうが、シカクも今やただの爺馬鹿になっているのは有名な話し。

「垣根挟んだ隣だろうが!」

「渡り廊下がねぇだろうがっ!」

この、馬鹿息子!と怒鳴るシカク。

新居を建てたのはいいが、なんせシカク夫婦が煩かった。

とにかく三人を可愛がりたくて。

ナルトは同居でもいいと言ったがシカマルがそれを許さなかっただけで、とにかくナルト中毒なのだから仕方が無い。

ましてやそこに両親が入ればさらに。

彼は同居だけは危険視していたのだ。



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あきゅろす。
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