NARUTO
十
やって来た中間テストの最終日は数学が待ち受けていた。
何時も通りにやればいい。サスケに朝そう言われたナルトは、心が落ち着いた。
数学以外は大丈夫としても、他の教科だって油断だけはしたくない。
『・・・っ』
問題をみてナルトは目を丸くする。何時もなら頭の中は白く濁っているのに、それが無い。
口元に手を当てて問題用紙をざっと見た。
『・・・なんで』
何で答えが簡単に出て来るのか。
ナルトはシャープペンを取り名前を書いてから記入していく。
すらすら進むのが不思議で。けれど懐かしくて。
解答用紙には空白が無く全てが埋まっている。問題用紙に解答を書き写して、眺めた。
サスケのお陰で出来た。
毎日やってくれたサスケの姿を思い出し、ナルトは微笑を浮かべる。
凄く嬉しくて、両手で顔を覆った。
はやくサスケに伝えたい。
それくらいナルトの気持ちは喜びに溢れていた。
数学のテストが終わった休み時間。前に座っているキバが振り向く。
「ナルト、どうだったよ?」
『すげぇの!俺すげぇ!』
「頑張った甲斐があったじゃねぇか」
ナルトの喜びようにキバはくすくす笑う。
点数がたのしみだな。ナルトは満面の笑みで強く頷いた。
全てのテストが終わり生徒は安堵の息を吐き出し、それぞれ話し合ったり遊びの予定を立てていた。
自分もサスケと解らない約束をしていたな。と。
何かは解らないが、兎に角今は清々しい気持ちで一杯だった。
真っ直ぐ帰宅してナルトは洗濯をしようと洗面所へ向かう。
『・・・へ?』
洗濯籠を見て朝あった筈の洗濯物が全て無くなっている。
まさかサスケか?それを確認しようと二階へあがり空き部屋を覗いたら、干さされていた。
『なんで?だってサスケは・・・』
家事が出来ないのに。
洗濯なんて覚えるような素振りも無かった。
どうして?考えながらナルトは私服に着替えて問題用紙を取り出した。
『あ・・・これ間違ったかも』
確認をしていると玄関扉が閉じる音がして、ナルトは下へ向かう。
『お帰りサスケ、なあ洗濯したの?』
「テストよりそれか。誰が洗濯すんだよ。」
リビングに入って行く背中を見て、ナルトは口を開く。
『だって出来ないって・・・』
「・・・早かったか。」
ぽつりと呟いたサスケ。ソファーを指差して座るよう促す。
「俺はお前との時間を増やしたいって言ったな」
『言った。』
サスケは片足だけ曲げると、身体をナルトの方へ向けてソファーに座る。
じっと見るナルトを見て彼は数回瞬きをした。
「家事は出来る。」
『は・・・?』
何でもっと早く言わねぇの。ナルトは驚きながらも感じた。
ナルトの両親にまで嘘をついてでもサスケは時間を優先したかった。
「テストが終わるまでは言わないつもりだったんだよ。」
『あの・・・サスケの中心ってさ、俺との時間なの?』
たまに聞くその言葉に、嘘云々はどうでも良かった。
「そうだ。」
素直に返すサスケ。
本当に自惚れてしまいそうな程、彼に好かれているのではないか。そう感じてしまう。
「お前と一緒にいられるなら、家事が出来ない方がこうなりやすいだろうからな。」
『どんだけ腹黒くなって・・・っ!』
心地よい手が首筋に振れられた。
触れられた方の肩がびくりと動く。
「あともう一つ」
『な・・・に・・・わっ!』
項へ周り、サスケの方へと引き寄せた。
突然の事には弱くナルトの耳は赤く、そこに唇を寄せる。
「テスト結果が出たらお前を抱くって決めてるから。」
『・・・っ!』
耳朶を挟みながら囁き、手はナルトの尻を
撫でた。
『だ・・・抱くって・・・っ』
「覚えとけって言っただろ」
甘く囁く声にナルトは力が抜けてしまう。
何時もサスケの手の平で踊らされているような気がする。
それだけ彼が先を考えての行動なのだけれど、サスケはナルトの首筋に舌を這わせた。
『あっ!・・・っ、くすぐって・・・んっ!』
鎖骨をかりっ、と甘噛みした。
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