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NARUTO


タクシーを使って帰宅したら、部屋に行くのも面倒でソファーに寝転がった。

瞼を閉じてさっきの事を思い出した。

綺麗な人だったな。

ああムカつく。

サスケと一緒に歩いて

サスケと一緒の時間を共有するあの二人。

なんて自分勝手な嫉妬と我が儘なのだろうか。

異性だからこそ、それは大きい。

サスケは昔からモテて、何時も女の集団があった。

妬む男は沢山いたけど、親しそうに歩いているのだって見た事がある。

『いてぇ・・・』

頭も胸も。

気付かないうちに好きになってたとか、何だよそれ。

『好き、なんて言えるか』

羞恥過ぎて家を飛び出してしまいそうだ。

ただでさえ、サスケに触れられると気持ちがおかしくなるのに。

『サスケの、オタンコナス・・・』

すぅっ、と意識は眠りの世界へと飛んでいった。


中間テストで数学の点数を上げたくて、寝る前とか教科書読んだり前のノートやプリント見直したりしてた。


サスケに見てもらって何時も通りの点数なんて、悔しいから。

何よりもエビスに馬鹿にされるのが嫌なだけ。

それってサスケも馬鹿にされてるみたいで凄く腹が立つから。

今はとにかく、エビスを見返してやりたいし、トラウマを克服したいから。



『・・・っ』

ひやりとした物が額に触れる。

冷たくて、気持ちが良くて眉間に寄っていたシワの数が和らいだ。

「何が人酔いだ、ウスラトンカチ」

友人と居る筈のサスケが帰宅していた。

氷水でタオルを冷やして額に当ててやり、彼はナルトの頭を撫でる。

慈しむように、サスケはナルトに触れる優しい手。


『サ、スケ?』

「少しは良くなったか」

どうして目の前に居るのか、寝ぼけているナルトには分からない。

ぼーっとした眼でナルトはサスケを見つめ手を彼に伸ばした。

『サスケ・・・サスケ』

「ちょ、どうし・・・」

折角冷やしたタオルは床へ落ち、抱き着かれ胸元に顔を擦り付けた。

好きな相手にそんな事をされ、随分可愛い事をするじゃねぇか、そう思ってしまう行動にサスケは旋毛に顎を乗せる。

「どうした、ナルト」

『ぎゅー・・・』

普段のナルトからは余り出ない行動に、サスケは嬉しいやら複雑な表情を浮かべナルトを抱きしめた。

「まだ寝ぼけてんのか?」

『なんでいんだよ・・・っ』

問い掛けを返されて寝ぼけてはいない事が分かった。

ぎゅう、と強くサスケを抱きしめるナルト。

「頭痛かったんだろ?」

サスケはじっとナルトを見て気付く。

何時もなら赤くなっている頬や耳が、今はそうなっていない事に。

『全部、全部いてぇ』

頭も胸もずきずきちくちくする。

『サスケのせいだ』

「ーー・・・そうか」

ぽつりと呟いた声は耳にしっかりと届き、サスケはナルトの腰をぐっと抱き寄せた。




クラシック音楽が流れている喫茶店。

「ねえ、私思ったんだけどあの子そうなんじゃない?」

「なにがよ」

二人の女が隣同士座って話していた。

「サスケ君が家庭教師している子よ!」

「えー、うっそー」

「サクラ、どっからそうなんだよ」

対面に座る一人の男が呆れ顔で告げると、サクラはにやにやした笑みを浮かべる。

「だってサスケ君論文仕上げるの早かったし、今此処に居ないじゃない。」

「んー、そう言われるとそうなるわよね」

でしょう?誇らしげな笑みを浮かべサスケはまた口を開く。

「あの子人酔いとか言って、頭痛薬買ってたもの。」

「お前何処まで目敏いんだ・・・」

「心配で帰った、って事かぁ、ねぇサクラ?」

肩でサクラの肩を突っつく女。

彼女もまた言いたい事が分かっていてにやりと笑みを深くする。

それを見ていた彼は、心の中で合掌した。

(こいつらのネタにされるぞ、サスケ)

「にしてもカッコカワだったわねー、イノ」

「スタイルも良さそうだし、また会ってみたいものね、サクラ!」

二人は顔を見合わせてがしりと強い握手をくみかわした。

「「家庭教師×教え子っ!!」」

二人は巷で増えている腐女子だった。





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