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NARUTO


夕食を作り終えてサスケを呼ぶと風呂上がり姿だった。

風呂上がり。

たったそれだけで違う雰囲気を感じてしまうナルト。

けれどそれをいちいち気にしたら駄目だと考えて椅子に座った。

「意外と出来るんだな」

『まあな、母ちゃん手伝ったりしてたから。』

不規則な生活で、得に夜勤の時は作らなくて良いと言う事が多かった。

ナルトなりに母親を労りサポートをして家事が出来るようになった。

「うん。うまい」

『そっか、良かった』

サスケに手料理を作ったのは初めてで、こうやって共に食べるのは小学校以来。

と言うよりも寝食共にする生活自体初めて。

「課題何出た?」

『英語と化学はキバに教えながらやったし、数学だけ。』

嫌な気分になって箸先を軽く噛んでしまう。

「教えれたのか」

『キバはもう中学からだから慣れかなぁ。』

そうそう、とナルトは思い出して付け足す。

『逆にキバは教えんの下手。』

全く理解が出来ず擬音を付けての解説が良く解らない。

「早く数学克服しろ」

『それ言うなっての。』

ぶすっとして茶碗蒸しを食べる。

出汁がきいて食材の甘みが出ていて美味しい。
「お前との時間が出来ないだろ。」

『・・・・・・。』

ぼとりとスプーンから茶碗蒸しが食卓に落ちた。

恥ずかしいような嬉しいようなものが入り混じりが、ナルトは少し彼を理解した。

ナルトに対しての言動に何時も嘘が無く、本音を告げてくる事に。


『サスケって本当に俺が好きなんだね』

「今更言うか、それ」

眉間に軽いシワを寄せて返すサスケに、ナルトはくすくす笑う。

けれど、自分の中にあるサスケに対する気持ちがまだ解らない。

解らないから迷い、悩む。

小さな芽はやがて大きな蕾に少しずつ変化しているのも


まだそれは開花はしないけれど


綺麗な花が咲くのかも知れない。

週末ナルトは本屋へ出かけ、サスケは大学仲間と課題の資料集めに出掛けた。

青のパイピングを使ったくしゅっとしたパンツ

白の半袖カットソーにフェイクレイヤードのダブルジップ七分袖のパーカー

ラフな服装ではあるが、ナルトもまた容姿が良い為視線を受ける。

本人はそれすら解らずただ参考書をじっ、と眺めていた。

少しでも分かりやすくて覚えやすい物を。

別にサスケに二人の時間がどうこうとかじゃない。

頭のなかでぐるぐる回りながら、克服する為だと言い換えて。

けれど言い換えていると、あの厭らしい記憶が蘇ってしまい悪循環だった。

『決まんねぇな・・・』

不快な気分は声になって口から出て、ナルトは目頭を押さえて瞼を閉じる。

『ん・・・頭いてぇ』

ずきずき痛みだしてきた頭に手をやるナルト。

目を眇めて買うことを止め、帰って寝ようと決めた。

蟀谷部分を指でぐりぐり指圧しながらナルトは外を歩く。

勉強漬けで肩凝りからの頭痛かも知れない。近くにあった薬局で頭痛薬と水を買って、道路脇のベンチに座る。

『・・・・・・。』

箱を開けて薬を飲んだら空を見上げた。

自分と同じ空色は、雲が全くなくて太陽の光が眩しい。

「あそこの本屋ならありそうじゃない?」

「そうかもねー行ってみましょうよ」

きゃつきゃと歩く女の声を耳にしながらナルトは額に手を当てて俯く。


早く帰りたいのに動こうとしない身体。

この騒音すら耳障りで苛立たせ、上目で見た先に見知った顔があった。

『・・・サスケ?』

男女二人ずつだが、カップルにも見える光景に、頭や腹の中がかっ、と熱くなる。

「ナルト?」

ぴたりとサスケの足が止まった。当然他の三人も止まる。

「参考書あったのか」

『いや、もう帰る』

サスケとの視線を遮断するかのように瞼を瞑る。


「サスケ君の友達?」

「やっぱサスケ君ともなると、レベル高いわねぇ」

ああ鬱陶しい。痛みと声と、友人でも一緒に歩いている女に嫉妬している自分も。

「サスケ、辛そうじゃね?」

「具合悪いのか」

『人酔いしただけだから、行って来な資料集め。』

促すよう手をぱたぱた振って嘘をつく。

でなければいけないような気がして。

「そうか、直ぐ帰れよ」

『へーきへーき、直ぐ帰っから!』

にっかり笑って送り出した。

ああ、こりゃタクシーだな。

胸のムカつきが出て来てため息が出る。

自分が思っていたよりも嫉妬しやすいとは思わなかった。

これはもう確実に、サスケに惚れているのだと実感させられた。

いや、あの日公園での風景を見た時からそうだったのだろう。


最後まで見なかったのは、見たくなかったから。

サスケの口からいきさつとかを聞きたくなかったから。


『・・・っ、はぁー・・・』

長いため息が吐息混じりに出た。

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あきゅろす。
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