NARUTO
五
あの家族会議から一週間後に両親はイタリアへ旅立った。
あの日、サスケが部屋から出て行った時にミナトから転勤の話を彼は聞かされた。
ナルトには中々言えず、ずるずる先延ばしにしてしまっていた事。
なら自分がそこに居ればナルトが癇癪を起こした時に止めるとなり、あの家族会議が始まった。
ただ誤算だったのが、まさかナルトとの同棲生活をしたらどうだろうかと持ち掛けられた。
「したらサスケ君一緒に暮らしたらいいってばね」
「「・・・は?」」
クシナの発言は二人を驚かせるものだった。
「その方が楽じゃない?」
「クシナ、サスケ君のプライベートだってあるんだよ?」
二人の関係を知らないミナトは、当然の事を告げた。
「俺はそれで構いませんよ」
『は・・・っ、はあぁぁぁ?!』
すんなり承諾したサスケを信じられない目で見て、大きな声がでるナルト。
うるせぇ、と頭を叩かれてもナルトは食いついた。
『母ちゃんもサスケも何言ってるってば!大体サスケは大学あんだぞ!』
「マンションあんだからそこに停めれば直ぐだ。」
ちげぇ!声を荒げて頭を抱えるナルト。
「サスケ君そこまで無理しないで?甘えてばかりじゃいられないよ。」
「こっちも色々都合が良くなりますし、安心して下さい。」
何の都合だ!言いたげな視線は直ぐに遮られてしまう。
「ナルトが家事が出来るなら、俺はそれが出来ませんから。」
「えぇ?!サスケ君そうだったの?」
次は二人が驚くが、ナルトもそれには驚いた。
「何時も外食で、洗濯はクリーニング。掃除は代行に頼んだりしてますから。」
『・・・サスケ、お前家事出来なかったんだな』
哀愁を漂わせたのは三人。
あんなに完璧な人間がまさか家事が出来なかっただなんて思わなかった。
「だから都合がいいんです。」
俺は都合が悪いんです。
言ったら最後、また振り出しに戻るので心の中で囁いた。
そんなこんなで、同棲生活が今日の朝から始まったのだが。
「ナルト、お前ネクタイ何だそれ」
『あ?朝は息苦しくてこれでいいの。』
ただ首からぶら下げているネクタイ。
サスケはそれに手を伸ばす。
「緩くてもいいからしとけ。」
『えー、近くになったらするって』
あぁ?睨まれると、ナルトはされるがままネクタイをやってもらった。
大学に行くまで余裕のあるサスケは、まだ着替えておらずジャージ姿。
「早くしねぇとギリだぞ」
『げっ!じゃあ先に行くから戸締まりたのん・・・だぁっ!』
学生鞄を背中にしょい込むと、肩を引かれる。
『ちょ、何っ?!』
「今日茶碗蒸しな」
甘栗入れんなよ。そうリクエストして頬にキスをした。
それが余計だったのか、ナルトの頬はかぁっ、と赤くなる。
『・・・っのやろ』
「茶碗蒸し、忘れんなよ」
『甘栗入れまくってやらあああっ!』
なんとも幼稚な事を叫びながらナルトは学校へ向かった。
あそこまで初な反応をするとは思ってもみなく
さらっと返すと思っていたが、それはそれで楽しみが増えたサスケ。
ソファーに座り、まだある時間は新聞を読破した。
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