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NARUTO


あれから暫くすると下からミナトに呼ばれてナルトは降りて行った。

『何?』

「あれ、ナルトなんか目赤くない?」

ミナトの指摘にナルトは表情を固まらせる。

さっきしていた事が頭の中で再生され、ナルトは誤魔化すように話す。

『欠伸でた。』

それしか思いつかなかったナルトは顎を下げた。

「そうか、ちょっと座って」

『?うん』

促されてサスケの隣に座ると、ミナトはじっとナルトを見た。

少し違う雰囲気に、ナルトの胸はそわそわしてしまう。

「実はね、ナルト」

『・・・なんだってば』

真剣みを帯びたミナトの瞳が、ナルトの不安を強くしてしまう。

まさかここ数日二人が変だったのはそうだったりするのだろうか、と。

「実は、父さん海外転勤になってね」

『はぁ!?』

肩透かしをくらい目を丸くしたが、視界の端に写ったクシナの暗い表情にナルトはそっちへ向ける。

『母ちゃん、大丈夫?』

「平気だってばね・・・ただ」

ただ?首を傾げるとミナトは笑みを浮かべた。

「父さんクシナと離れるの嫌だから連れて行こうと思うんだ。」

『そこに俺はいないのかよ』

呆れ顔で言葉にするとミナトはきょとんとする。

「連れて行きたいに決まってるじゃないか。」

『嘘くせぇ』

ふて腐れている訳では無いが、そこは自分の名前も出る所なんじゃないか、と眉根を寄せた。

「留学させたいさ、けどまた新しい環境になっちゃうから、それならナルトは今のままの方がいいんじゃないかってね。」

「だから私は残るって言ってるってばね!」

大切な息子を一人残して置けないクシナと

本当は皆で行きたいのがミナトの本音。

『なんだ、それだったのか・・・』

安堵の息を零してふにゃりと笑んだ。

『何か最近二人とも変だったから離婚すんのかと思ってた』

「する筈ないよ、心配かけさせちゃったね」

「何言ってるってばね!勝手に私の仕事辞めさせたくせに!」

きっ、と呑気な顔をしているミナトにクシナが睨む。

「だって離れたくないからさー。」

ミナトはそれはもう愛妻家で、最近出張続きのすれ違い生活が気に入らなかった。

『まあ俺留学とか言われても残ってたと思うし、母ちゃんもずっと働いてたから良かったんじゃないの?』

「随分と協力的だってばね、ナルト」

ずもも、と空気を黒くして威圧してくるクシナにナルトは苦笑を零す。

『だから母ちゃんさっき夜遊びだの彼女だの言ってたのか』

「気にするってばね!」

居ない事を良しとして、そうなるのではないのか。

ナルトは随分信用が無いものだと感じて溜息を吐き出す。

「大丈夫だと思いますよ。してるならもうしている筈ですよ。」

サスケがクシナに告げ、口ごもる。

ナルトもまた、彼に視線を向けた。

「それに、家庭教師してますから監視も出来ますし。」

『監視って・・・俺はどんだけ信用ねぇんだよ。』

呆れ返ってナルトはソファーの背もたれに寄り掛かり天井を仰ぎ見た。

『あー、馬鹿らしい。』

「ナルト、別に誰も信用していないからじゃないんだよ」

『疑われる理由が分かんねぇ』

視線すら向けずぶっきら棒にミナトへ返す。

苛立ちで言葉を荒げる事をしたくなかった。

『好きに行けばいいだろ・・・知るか。』

「ナルトッ!」

クシナが怒り立ち上がると、ナルトは流し見る。

『やった事すらねぇのに、居なくなったらやるって馬鹿じゃねぇの?母ちゃんさっき言ったのと、今言ってる事矛盾してねぇ?』

「落ち着けナルト」


『・・・・・・っ』

ぱす、と視界が黒に覆われる。

たったそれだけで気持ちが落ち着いてしまった。

「お前が言いたいのは分かるけどな、親ってのは息子が心配なんだよ」

視界が明るくなって、ナルトは両親を見ると心配顔を浮かべていた。


「サスケ君の言う通りだよ、ナルト。」

「ナルトがそんな事しないのは分かっていても、心配なのよ。」

寝坊するから。付け足された言葉は重いもので、クシナが夜勤勤務の時は寝坊で朝が慌ただしい。

「それにいくら家事が出来ても、レトルトで済まそうとするし制服のまま寝てる時とか・・・誰かいないと心配だってばね」

『・・・・・・。』

はぁ、と深い溜息をされナルトはぐうの音も出なかった。


「それだったら俺が面倒見ますよ。」


『はぁー!?』


さらっと告げるサスケに勢い良く顔を横へ振った。

「論文も終わって後は進級するだけだし、マンションは親父のだから家賃とか無いから実家戻れば平気です。」

『ちょーっと待てってばサスケ!』

これには貯まらずナルトは立ち上がって指を差してしまった。

「家庭教師と面倒みるならそっちのが楽だろ。」

「でもサスケ君にばかり甘える訳にはいかないよ」

そうだそうだ!心の中でナルトはミナトにエールを送った。

「遊ぶより、ナルトは間違いなくゲーム三昧でしょうね」

「それは許さないってばねぇっ!」

クシナも立ち上がって拳を作り怒りを現した。

流石にナルトもクシナの拳骨が嫌なのか口元が引き攣り笑う。

『し、しないってばよ・・・うん。おれ、しない』


「「「嘘だ」」」

三人の声が見事にシンクロした。

俺のゲームが・・・

ナルトは一人うちひしがれた。




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