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NARUTO
十六

何でサスケがそこまでしたのか何て分かる筈も無く

「お前が言いそうな事なんて分かり切ってた事だ」

『何だよそれ、俺頑張ってきたってのに!』

抱きしめられたまま話すがナルトは耳まで桜色になり、それを流し見たサスケはくつりと笑う。

「だから知ってるって言ってんだ、お前が勉強ばっかしてたのも。ただな・・・」

『うあっ!』

前髪を引き上げられて顎を上へ逸らされ、彼と瞳が重なる。

「どうやったらその記憶が抜け落ちるんだ?」

『しっ、知るか!』

本人すら分かっていない事で、兎に角見返したいが為に必死だった事が強くて、サスケ云々の記憶が抜け落ちた。が妥当と思えた。

「まあ、どっちみち俺の勝には変わらない事実だ。」

『六年連続とか卑怯だ!』

顔を真っ赤にして潤ませた瞳で睨まれても効果としては、サスケを煽る材料になってしまう。

「結果だ」

『そこまで考えてなかったってばっ!』

むかつく!喚きながらサスケの腿を膝で打ち付ける。

そうやるくせに力なんか籠ってなんかいなくて、それが可笑しくて喉を鳴らし細い顎に手をやる。

「お前、ほんと」

『な、なんだって・・・っ!』

馬鹿可愛いのな。微笑んだまま静かに告げ、唇を重ねた。

啄み感触を確かめながらサスケはナルトの背中を撫でる。

『サ、スケ・・・っ、ま、まて・・・っ』

「お前は一連の会話で理解出来ないのか」

顎から耳までゆっくり撫でる手つきが厭らしく感じて縮こめる肩。

『それって・・・俺は男で、そんなの・・・』

「それくらい丸抱えなんだよ」

かすめるように触れただけでナルトがぎゅっと目も口も閉じてしまったのは、さっきから心臓が壊れそうのほど高鳴っているせい。

「お子様には難しかったか」

『誰がお子様っ』

「俺がどんだけお前を想ってるのか」

何かが込み上げてきそうなものに、胸が忙しなく鼓動する。けれど、ナルトは思い出した。

『変だろ。だって、この前公園でキスされてたろ』

「あれ、見てたのか」

しゅんとした姿は、ナルトはそれにショックを受けているのが分かる。

だから家庭教師を断って、彼女となったのかと。

「良く見て無かったのか」

『そんな趣味無い。』

見ていたく無かったのは事実

胸が苦しくなったのも紛れもない事実

「あの時、あいつに見つかって、捕まったのは・・・」

『いうなってばっ!』

詳しく聞きたくないのに、そうしてくるサスケ。

耳を塞ぎたいのにそれが出来ないのは、知りたいと頭が告げているようで嫌だった。

「あいつは大学からの知り合いで、たまたまそうなったのは俺が・・・」

『言うなって言ってんだろ!』

腹がたってナルトはサスケの頬っぺたを左右に引っ張る。

『俺はそんなの知りたくないってば!』

「関係を知りたいんじゃないのか?」

ナルトはサスケの肩に顎を乗せた。

「キスされたのが知りたかったか」

『だって見たし』

不貞腐れ声で言葉にすれば、サスケはくすくす笑う。

「嫉妬か、それ」

『知るか、そんなもん。』

嫉妬だったのか。それはナルトの心にすとんと嵌ったきがする。

素っ気なく返されてしまったサスケはめを眇める。

「なら、何が知りたかったか言ってみろ」

『してないし!』

「そうか、されたのは事実だ・・・いてっ!!。」

がす、とナルトは脇腹を殴った。
そうされると分かっていなかったサスケは眉を顰める。


『何ホイホイされてんだってばっ!』

「・・・・・・。」

癇癪を起こしてまた膝で彼の腿をがすがす打ち付けた。

宥める事はせず、サスケは黙ってそれを受け入れる。


『俺に言ってる事とやってる事が違うってばよ!』

「お前、本当に最後まで見てなかったんだな」

見てねぇよ!どう感情を抑えていいのか解らなくて、それを晴らそうとしている自分にも腹が立つナルト。

「される訳ねぇだろ、馬鹿ナルト。」

『そっ、そんなの・・・っ』

「見てないからだろうが」

嫌で見なかった。
見ていたくなかった。

「大体、俺はSexはしてもキスはしない主義だ。」

『知るか、そんなこだわり!』

恥ずかしくて、悔しくて本当に今の姿は子供じみていると実感してしまうが

悔しくものは悔しい。

「吐き出せれる器があればそれで良かった。」

『器って!』

そうだろ、とサスケは隠れてしまったナルトの顔を上げさせる。

目元は赤らみ、また零れそうな瞳に触れた。


「だからキスだけはしないと決めてた。」

『――・・・っ。んなの、そんなの・・・っ』

目元に触れた指がくすぐったくて瞑ってしまう。

ナルトは今日一日でどれだけ混乱したのか解らない。

こんなに泣いてしまったのも、感情の変化の激しさも。


「いい加減観念しろ、ナルト。」

『脅しかそれっ!』


命令。そう口元を笑わせ言葉にしてナルトの唇に啄んだ。

『ん・・・っう。』

「お前はもう、俺のモノなんだよ」

視線が重なり映し出されたサスケの黒い瞳の奥にある鋭い光に、ナルトは捕らえられた。

やっぱり本気なんだと、頭で思いゆっくりと瞬きをする。

『返品なんかきかねぇかんな』

「――・・・上等」

笑みを深くしたサスケに、見惚れた。なんて言ってやるもんか。


きらきら光る金色の髪の毛

宝石のような輝きを持った美しい瞳


口を開けば煩くて

くるくる変わる表情に

傷付きやすく繊細な優しい心に

明るくて元気な君に恋をしたのはいつ頃だったか


あの日

二人で約束した賭けは、自分を奮い立たせる材料となって進んでいった。


少しずつ変わっていく姿を遠くから見ていた事もあった。


けれど二人の距離は近付く所か離れていってしまって

自分は幸運だったと感じた家庭教師の話し。

どれだけ待っただろうか。


あの日の約束を果たせると。

忘れてしまった記憶は案外簡単に蘇ったけれど


返品なんかしてやるものか。


ずっと待ち望んでいた愛しい者を、手放す気はない。








「風呂、入って来い。砂埃かぶってるだろ。」

『あー・・・だってばね』

落ち着きを取り戻したら気恥ずかしさが襲ってきて、瞳が忙しなく動くナルト。

「用意はしてあるから入って来い」

『うん。入ってくる』

サスケが退けるとナルトも立ち上がり背伸びをする。

これからがスタート。

「ベッド一つしか無いからな。」

『・・・っ!』

からかおうと思って告げてみれば、ぼん、と音がなったように耳まで真っ赤になったナルト。

サスケはナルトの方へ爪先を向けた。


『ソッ、ソファーでいいって、ば・・・っ!』

「人間はベッドで寝るもんだろ。」

『ゆっ、床で寝るからっ!』

背後から抱き込まれ暴れるナルト。

「そんなもんねぇ」

『寝相悪いから床でいい!』

一緒に寝るだなんて今のナルトには高い壁を登るようだった。

「だから観念しろって言ってるだろ」

『――・・・っ、できるかぁぁっ!』

振りほどいてバスルームへと走り去って行った。

「まだそこはお子様だったか」

まあいい。それが普通になるよう躾ればいいだけだ。

まだ赤いであろうナルトを思い浮かべて口角をあげる。

なんせ彼はナルトの家庭教師なのだから。




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あきゅろす。
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