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NARUTO
十四

嫌いだった。
何でも出来るアイツが。

アイツが小学校を卒業してからは、会う機会なんて余り無かった。

夜、外を見たら電気が着いている。

それぐらいで、誰かと歩いているのを見掛けたりもした。

中学受験をしたら、全くといっていい程会わなくなった。

それが家庭教師として来たもんだから驚いた。

自分の中でのアイツは高校三年の冬で止まっていたから。

大人になった姿を見て、知らない人間に見えた。

けど、やっぱり人を馬鹿にするのは変わっていなくて

時々みせる優しい顔とか

声が変わった低くて綺麗な声とか


知らないアイツ。


知らないだらけ。
だからムカついてるんだと思う。

別に知らなくても俺には関係ないのに。

これといって凄く親しい訳じゃない。


なのに何なんだろう

訳の解らないもの。









あったかい

あったかくて、柔らかい。

俺、サスケと会って車に乗って、家に・・・

『・・・・・・。』

ゆっくり開いた瞼の先には天井。


左を向けば何かの皮製品。

右を見たら

『サ、スケ?』

「起きたのか」

テーブルを挟んだ向かい側のソファーに座ってパソコンをしている姿があった。

むくりと起き上がると、掛けられていたタオルケットがあり眼を擦る。

『ごめん、運ばせちゃって』

「お前食ってんのか」

『食ってるけど?』

んな軽くねぇよ。

ふて腐れながらもきちんとタオルケットを畳んでソファーの端に置くと、壁掛け時計を眺めて目を丸くする。

『ちょ、やべぇ!もう18時回ってんじゃん!』

「連絡はしておいたから慌てんな」

言葉にナルトは落ち着きホッとするが、次がれた言葉に驚く。

「泊まらすって言っといた」

『はぁぁ!?』

帰りますから!返すとパソコンをやっていた手は止まり前を向いたサスケ。

「話が終わってねぇんだよ、ウスラ馬鹿が」

『誰がウスラ馬鹿だ!・・・てサスケ眼鏡してんの?』

テーブルに両手をついて身を乗り出しサスケの顔をまじまじ眺める。

それが不快だったのか眉を寄せて睨む。

「だったら何だ」

『やっぱ人って眼鏡かけると雰囲気変わるのな。』

しらねぇよ。視線を外されまたパソコンをやり始める。

『話って何?さっさと終わらせたら電車で帰るから続きやれば?』

「お前が寝なかったら終わってたろうな」

『だから謝ったってばよ。』

パソコンばかりやっている姿。

そんなにやりたいなら早く終わらせてやってればいいんだ。

鞄から携帯を取り出すと、メールが来ていた。

『――・・・キバ?』

キバからのメールで読むとくすくす笑った。

『ばっ、馬鹿だ・・・っこいつら馬鹿だ!』

ドジョウ掬いの恰好をしているキバ、里山、坂上の写メを見てけたけた笑う。

『――・・・来年だな』

何処か諦めた表情を浮かべて返信した。

「何が来年だ」

『打ち上げ。去年俺熱中症で動けなくなったし。』

ぱたんとパソコンを閉じてサスケは眼鏡を外す。

「何で言わなかった」

『疲れて、もう眠かった。』

ハードな競技三つをやった他、怪我をした友人に変わってドッジボールに出る事になってしまった。

「何でも引き受けるからそうなんだ」

『勝手に入れられたんだって。俺課題ばっかだから中々遊べないし。』

サスケはキッチンへ入り冷蔵庫を開ける。

そう言えばそんな話を聞いたな、と思いながら。

「そんなに毎日出たりしないだろ」

『間違えた所をやらされるから。』

だからほぼ毎日だと返したら、スポーツドリンクを渡された。

『・・・ありがと』

「お前、中学受験したんだってな」

『・・・っ、うん、した。』


開けようとした手がぴくりと動く。蓋を開けて数口飲んだ。

「下がったのは難しかったからか?」

『なに、それを聞くために呼んだ訳?』

飲み口を唇につけたまま口元を笑わせて聞く。

「お前、ただの苦手じゃねぇだろ」

『ただの苦手だって。理由なんかねぇよ』

悟られまいとしてペットボトルの蓋を閉めてテーブルに置いた。

「相変わらず嘘が下手くそだなお前」

『なら、それ聞いてどうすんの?嫌なの思い出させて土足で踏み込んで汚してくだけだろうが!』

嘘が下手なのは理解しているが、苦手だと言っているのに知ろうとする事が嫌でたまらなかった。


嫌な記憶を引きずり出そうとしないで欲しかった。

俯き拳を強く握ったナルト。

けれど肩と顎に痛みが走り顔を上に上げられた。

『・・・っ、な・・・っ』

「お前何されたんだ」

サスケは乱暴と言える所作で顎を掴み、その表情は冷たく歪んでいる。

何故そんなに感情を荒げるのかが解らなくて、重なり合う視線から反らした。


『だ、から、それが・・・っ』

「言え、ナルト」

戸惑いを隠せないままサスケは言葉を被せる。

掴まれた肩から手を離し、彼はナルトの頬に触れた。

「頼むから、言ってくれ」

『何で・・・知りたいんだよ』

ほっといてくれ。

消え入りそうな声で囁いた言葉。

優しく触れている頬はそれでも優しくて、冷たい瞳がそれと同じでナルトの瞳に膜がはった。




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