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NARUTO
十三

球技大会はナルトとキバが参加した球技だけ優勝した。

とぼとぼ歩いてしまうのは、これからサスケの家に行かなかければならない事に。

ただでさえ体力は奪われ疲れも蓄積されているナルト。

早く帰ってシャワーを浴びて眠りたい。

『うるせぇ』

きゃあきゃあざわざわうっせえな。

校門付近にいる集団が耳障りで眉を寄せる。

通り過ぎ車も通過しようとしたら窓が開いて呼ばれる。

「乗れ、ナルト」

『・・・ってサスケ?』

運転席にはサスケの姿があり、目をぱちくりしていると

早く乗りやがれ。と言いたげな凄みにナルトは助手席に乗ると走り出す車。


大学生がこんな高い車乗れないだろ。

疑問符が浮かんだが直ぐに打ち消されたのは、彼の家はお金持ちだと言うのを思い出したから。

『ずっといたの?』

「いや、用事足してた」

ふぅんと返すが、どうして少なからずショックを受けてるんだろう。

そう思ってしまったが、運転している彼の方へ顔を向けた。

『先生達と会ったりした?』

「・・・あ?」

上手く言葉が出なかった。

好きな人や彼氏が運転している姿はきゅんとくる。

何度か聞いた事があったが、ナルトは初めてその姿を見て言葉を詰まらせてしまった。

左手でハンドルを握り、右手は窓の淵に肘を乗せ頬杖をついている姿と、様になっている横顔。

ちらりと流し目を向けてサスケが言葉にする。

「なんだって」

『先生達と会った?』

まぁな、と返されナルトは前を見て気づく。


『あれ、家じゃねぇの?』

「正確に言えば俺のマンションだ。」


『はぁ?!実家で良くね?』

それは初耳だと思い切り彼を見て正論を告げてみた。

「大学から近いからな」


大学近い云々より、俺は歩いて数歩でたどり着く家が良かった。

『そら大変な事で』

一人暮らしだったとは思わなかった。
それだけ彼との接点はいつしか消えてしまっていたのだ。

そう思ったら何故かやはり、ショックを受けているのが不思議に思えた。

『・・・。』

やばいな

この静かな音や揺れが眠りを誘って来る。

うつらうつらとしてしまうが、起きようと一人格闘するナルト。

そうしている内に、車は高そうなマンションの地下駐車場に入って停まった。

こつりと当たった物を見たら、それはナルトの頭が彼の腕に寄り掛かっていた。

「おい、着いたぞ」

『・・・っ、ああ、うん。』

寝かかっていたナルトは、サスケに肩を揺すられて起きた。

『着いた・・・の?』

「行くぞ」

んー、とまだうとうとしている思考で車から降りた。

サスケはカードキーを取り出して、中へと続く扉のロックを外す。

中々来ないナルトに振り向き声をかける。

「お前何やって・・・っ」

『・・・あ?・・・わり』

ぽす、とサスケの背中にぶつかるが、歩きながら寝たり起きたりしていた。

それには流石にため息を零し、頭を叩く。

『いてぇ!』

「歩きながら寝んなウスラ馬鹿」

『俺ハゲてねぇ』

ウスラハゲと聞こえたらしいナルト。けれど少し目が覚めた。

外観や内装に驚くよりも、今のナルトは眠気との格闘に忙しかった。


エレベーターに乗っている時は揺れが揺り篭みたくなり、足を蹴られた。


彼が何階なのか、部屋が何処だとか云々よりやはり眠気が強い。


「着いたぞ」

『お邪魔します・・・』

だんだんと舌足らずになりながら靴を揃えて脱ぐ。

サスケの後に続こうとする身体と、眠気を要求する脳。


「――・・・ごん?」


背後から聴こえた音にサスケは振り返ると、呆れ返った。

壁に額をつけてそのまま眠ってしまっているナルト。

「ナルト、寝るな」

『・・・・・・。』


反応は無く近付きサスケは耳元に唇を寄せた。

「起きろ、ナルト」

『・・・・・・。』

低く甘い声で囁くも本人は瞼すら動かさない。

「ウスラトンカチが」

そう言いながらもサスケはナルトを背負った。


眠っていてずしりとしてはいるものの、まだ軽いナルトの体重。

あんなに小さかった子供が、こんなに大きくなったんだな。とサスケは実感した。




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あきゅろす。
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