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NARUTO


校内のコンビニでフェイスタオルとスポーツドリンクを買った。

あちこちで合コンのように話している姿。複数の男女問わずな視線も受けながら、次にやるバレーをする為に第二体育館を目指していたのだが、声がかかる。

「なあ、あんた渦巻ナルトだよな?」

『・・・だったら何?』

顔だけ振り返ると見知らぬ男。けれど相手は気まずそうな表情を浮かべていた。

「あのさ、小学の時・・・俺、お前に・・・」

『だからお前誰?人の名前知っておいて名乗りもしねぇのかよ』

身体を相手の方へ向けて平淡な声で言い返すと、そうだよな、と苦笑いを浮かべる。

「・・・柳田っつったら分かる?」

『・・・ああ、いじめっ子大将の柳田君ね。』

忌々しい。頭の中で舌打ちが出て一気に気分が苛立ちへと変わっていった。

『此処まで来てまたやるって?いい加減幼稚過ぎて笑う事出来ないんだけど。』

じゃあな、とひらひら手を振ってさっさと行こうとしたが、止められる。

『なに、俺次バレーなんだよね。』

「今更なのは分かってる。でも俺は・・・渦巻にどうしても謝り・・・だふっ!」

がすっ、持っていた袋を相手の脇腹に当てる。

『何時か嫁さん貰って、子供が出来た時、あんたと同じ事してたら思い出して言えばいい。謝罪なんか今更聞きたくもねぇ。』

聴いた所で戻っては来ない。

許そうが
許さなかろうが
過去は変えられない。

それだけ苦しくて辛かった。

それでも少しずつ進んで良くなったんだ。

自分を変える事が出来たんだ。


「ナルト何やってんだ!始まっちまう!」

「お前らナルトを担げーっ!」


おー!と向かってくるのをみて自然と笑みが零れ、後ろを振り向く。

『お前も、頭じゃなくて中身が馬鹿だったらよかったかもな。』

「渦巻ごめん!俺お前が羨ましかっただけなんだ!」

向かってくるクラスメートと、背後から言われる言葉。

『だったら、お前も前に進めれたな。』

「早く来いっていってるってばよー!」

『どさくさに紛れて真似すんなぼけぇえ!』


怒鳴りつけ、じゃあな、と笑って手を振り集団の方へと向かった。

変われたのはきっと、中身馬鹿ばっかな人間とあったから。

だから楽しいと思えるようになった。

ずっと気にしていたのかも知れない。

だからこうやって来ているんだろうと

過去は決して変えられないし、戻れない。

どんなに願ったって、時計のように前に進んでいってしまう。

何度も立ち止まったとしても

時間が掛かっても

進もうとしなければ変わらない。

進んだ先に何があるのか

それは個人の感じ方。









『凹ましてやるっかんなーっ!』

「ぎぃやああああっ!」

ずばぁん、とバレーボールが壁に当たり跡が付く。ナルトの表情は活き活きとしていた。


「つーかナルト容赦ねぇのな。」

「あいつ課題ばっかで遊べないから、ストレス相当溜まってんじゃね?」

入り口付近で話すクラスメート達はある意味避難をしているようなものだった。

「遊び盛りが遊べねぇの辛いよなぁ。」

「渦巻君浮ついた話し聞かないから尚更なんだよねぇ・・・」

「今日もいるんじゃない、玉砕覚悟の告白。」

あー、いるいる。絶対いるよ。と頷き合っていると、声がかかる。

「お前らなにやってんの?」

「おー、キバお疲れー!」

遅かったじゃん、と友人に言われると気まずそうにこめかみを掻いて、まあ色々。と返した。

キバもまた隠し事が上手な方ではなくて、直ぐにバレてしまう。

「告白かぁ・・・いいなぁ」

「ああ、羨ましいぜ・・・」

二人して肩を組み合いながら、俯き哀愁を漂わせていた。




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あきゅろす。
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