NARUTO
七
球技大会当日、他校の生徒や友人達がわらわらと私服姿で門をくぐる。
全学年同じ黒のフード付きジャージで、袖や脚のラインは金色が入っていて変わってはいるが格好いいと評判だった。
「ナールト、サッカー楽しみだな!」
『ああそう。見事に葬式みてえに黒ばっかだろうが・・・』
滅入るだろ。うなだれたままキバを横目で見て、ナルトは彼を呼ぶ。
うなだれたままキバはちらりと流し目でナルトを見た。
『ありがとうな、キバ』
「・・・別に何もしてねえよ」
微笑を浮かべるナルトに彼は照れ隠しでとぼるとケタケタ笑う。
『キバがデレた!』
「してねええっ!」
かああっと真っ赤にして怒鳴るとナルトはやはり笑うばかり。
クラスメート達はそれを見てまたなにかやってるよ。とくすくす笑う。
時間になって総合グラウンドに向かい、観客達がいる中で朝礼と注意事項などをうけた。
金髪な生徒はナルトしかおらず、綺麗な色とジャージで目立っている。
「ねえねえあの子誰?」
「あの金髪の子タイプー!」
「その隣の子もいーよねー!」
きゃあきゃあ騒ぐ他校の生徒達。けれどそれだけじゃなかった。
「みた?さっきすっごく格好いい人いたの!」
「うそうそ!みたぁーい!」
あなた達は何をしに来たんですか。と言える程盛り上がっていた。
「・・・・・・。」
総合グラウンドの客席には、サスケの姿があり、彼の視線の先には気怠げなナルトの姿を捉えていた。
『・・・うぜえ』
「どうしたよ・・・ああ、被ってろよ」
目立つ髪色に瞳の色はあちこちから声が聞こえて眉を寄せるナルト。
キバに言われた通りナルトはフードを被ったが、クラスメートがそれを見てからから笑いながら言葉にする。
「ナルト・・・お前何か犯罪者っぽ・・・いでっ!」
『坂上、何かいったか?』
「いえ、滅相もないです・・・っ」
肘鉄をくらわせ、睨みつけると表情をひきつらせる。そして背後からずしりと重みが加わった。
「サッカーたのしみだなー!」
『重てーよ里山っ!』
「おれもおれもおれもーっ!!」
復活した坂上が里山の背に乗りナルトは眉間に皺を寄せる。
キバはただ両の手を合わせて二人を拝むと、周りのクラスメートにも伝わった。
『邪魔くせええっ!!』
「「ぎゃああああっ!」」
二人を振り落としナルトは見下ろし冷厳な眼差しを向ける。
『無駄な体力使わせるなボケ共が・・・』
「「はいっ!」」
ぴしりと身体を硬直させて返事をすると、ナルトは空を見上げた。
眩しい太陽に目を細めて、前を向く。
ずっとイライラしたままのナルト。
原因は分かってはいるが、認めたくない自分がいる。
あの日
家庭教師を断ってから数学の小テストの結果が下がった事。
どうしても離れようとしない、あの日見てしまった光景が
『・・・発散さしてやる』
ずくずく痛む胸にきっとこれからの試合が楽しみだから何だと、理由を付けて。
そして何処からかじっとナルトを眺める者がいたのに気付かなかった。
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