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NARUTO


サスケが来なくなって、クシナが彼の元へお詫びに来た。

「サスケ君無理させちゃってごめんね。」

「無理はしてないですよ。」

頭を下げるクシナの顔は今にでも泣いてしまいそうだった。

「ナルトに言われたってばね。確かにサスケ君の時間は無くなるしお付き合いしている人との関係も悪くなるって。」

「・・・ナルトも言ってましたけど、俺彼女なんていませんよ。」

なんだって?さっきまで泣きそうだった顔は一気に怒りへ変わる。

「じゃあ遊びたい為に嘘ついたってば!?」

くわっ、と両拳をつくりふるふる肩を震わせる。

「クシナさんは知ってますか」

「ん?なにをだってばね?」

彼女云々よりもサスケはどうしても引っ掛かりが取れないままのものがあった。

「なんでアイツ、数学だけ駄目なんですか?」

「言ってなかったのね」

流石ナルトの母親。

ころころと、素直に表情が変わって解りやすいが、この暗さには何か理由があると分かる。


「確かめていないけど、一時期あの子拒食になった事があったの。」

「――・・・拒食?」

こくりと頷きクシナは両手で顔を覆い隠す。

「同時に、ナルトの数学が一気に下がったってばね。」

「それ、中学時代ですか?」

こくりと頷き、クシナはその日の記憶が蘇る。

食べれなくて、食べても戻してしまった事。

学校で倒れて駆け付けた時も、それは数学の時間。

成績が下がったのと
他に何かがあると思い、後日担任に尋ねてみた。

けれどその数学教師も不思議がってたまに話し合うと、あの男は言った。

良くならない成績に、どこか変わってしまった息子。


「ナルトには昔から外見で辛い思いをさせたってばね。笑っても心では傷付いて泣いて」

騙されるってばね。

苦痛の表情を浮かべクシナは深呼吸をした。

「サスケ君が忙しいの分かってて、無理言ってごめんなさい。」

「クシナさん・・・」


また頭を下げたクシナをサスケは肩に触れる。


あの無表情な男の瞳は、優しい笑みを浮かべていた。











『何だこのリスト!』

「いやー、ナルトが何でもいいって犬塚から聞いたからさー」

『納得出来るかぼけええっ!』

ビリーッと用紙を破きぐしゃぐしゃに丸めると、彼はにこやかな笑みを浮かべる。

「そうするの分かってたから、まだあるんだぜ!」

『うぜぇ里山ぁぁっ!』

どぅくし、と綺麗な回し蹴りが脇腹に直撃するかと思いきや、ガードされた。

「空手部なめんなぁ!」

『じゃかましぃぃっ!』

とぅ!、とアニメで見るような効果音が合う、助走無しの飛び蹴りを入れ彼はよろりと立ち上がった。

「こいつ・・・やりやがるぜ」

『球技大会うぜぇ・・・』

参加競技のリストには、ナルトの名前があった。

バレー、サッカー、バスケ、主力な競技ばかりで溜息が出る。

野球やテニスが無くてホッとするが、体力続くのか心配だった。

「ナルト課題とかであんま遊べないから、犬塚が発散させようって言ってたんだよ」

好きな競技だろ?腹を摩りながら里山は告げる。

なんだそれ。

『くそ・・・っ』

「照れんなよ、ナルトー」

『照れてねぇっ!』

げし、と拗ねを蹴ったが頬は少しだけ桜色になっていたのを彼はあえて言わなかった。

いや、言ってしまったら何をされるのか解ったもんじゃない。

可愛らしいのに凶暴でクールな一面があるナルトは、男女問わず好かれていた。

告白も何度もされたが、それを受け入れた事はまだない。

そう言う気持ちになれないし、まだ恋をした事すら無かった。




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あきゅろす。
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