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NARUTO


家庭教師をしてもらってから数日が過ぎた。

数学の小テストはやっぱり少し難しかったけど、教え方が上手なのか赤点は免れた。

免れたのに


「随分と前回より点数が上がりましたね。」

『そうですね。』

放課後エビスに呼び出された。傲慢な態度がいけ好かない。

「一体どうしたんです?まさかカンニングしたんじゃないでしょうねぇ」

『アホくさ。』

仕舞いにはカンニングと疑われて、何だかどうでも良くなってしまう。

「ならこの点数、何をしてこうなりました?」

『家庭教師。』

「へえ、家庭教師ですか」

片方の眉毛をあげて嘲笑う笑みを浮かべて言葉にするエビス。

「随分優秀な家庭教師ですねえ」

『そうですね。先生と似て厭味ったらしいけど、教え方は上手だと思いますよ。』

「渦巻君、君少し言葉を慎みなさい。」

『気に入らないからって目の敵にして難題ふってくるアンタに言われたくねぇな。』

睨まれても同じように睨み返した。

何でも馬鹿にして、点数高くなったから呼び出して疑う。

腹が立って仕方が無いけれど、怒鳴り散らしたら負けのような気がして冷静に話した。

「君の為にしている事を目の敵だの気に入らない等言うんですか」

『俺の為?最初から出来なそうな問題出して良く言えたな。』

新学期からそんなの気付いてる。出来た試しなんて殆ど無かった。

『俺の為とか言ってるけど、全部出来た事なんかねぇよ!』

「気に入らなければ直ぐに声を荒げ。全く子供ですね。」

『同じだろ、気に入らねえからアンタがしてる事だって。』

どうでも良くなって椅子から立ち上がった。

【──こうしたら分かるだろ?】


ああ嫌だ。
何で出てくんだよ・・・


『嫌いなんだよ。見た目で馬鹿にする奴も・・・数学教師も!』

「渦巻っ!」

立ち止まる事なんかしないで指導室を出て行った。

廊下を曲がればイルカの姿があった。


「あれ、ナルトエビス先生の声が聞こえたけど、指導されてたのかい?」

『・・・別に』

「どうした?お前なんか・・・」

辛そう。

顔を覗き込もうとしたイルカに、ナルトはそのまま歩き出して階段を駆け降りる。

「――・・・ナルト」

心配な顔を浮かべ歩き出すと、指導室からエビスが出て来てイルカは理解した。

「ナルトに、何を言ったんですか?」

「何も言っていませんよ。ただ気に入らないからって怒鳴り付けられただけですよ。」

困ったものです、と溜息をはいてる姿を見て、イルカは拳を強く握るが彼の性格を思いだし深呼吸をした。

「へぇ、そうなんですか。去年そんな事無かったのに」

どうしたんでしょうね。

イルカは態と彼にそう告げた。するとやはり睨みつけてくると苦笑を漏らす。

「海野先生、何がおっしゃりたいんです?」

「いやぁ、ナルトは真面目ですよ。分からなくても、プリントは必ず途中でも提出してましたから。」

「・・・・・・。」

それはエビスも分かっていた。
けれど何時も途中で終わっていて放棄したのだと思っていた。

「見た事ありますか?プリントの裏とか空白にある筆跡。」


「・・・跡?」

渡されたプリントを眺めると、微かに残る跡。

そこには沢山の式が書いてあって迷った字が残っている。


「あの子は、遊ぶのを我慢してやってます。此処に来て時間があればやってます。」

ナルトをちゃんと見て下さい。

イルカは真摯な眼差しでエビスに伝える。

「まずはそれを、ナルトの努力を認めてやって下さい。」

失礼します。頭を下げてイルカは立ち去った。


「――・・・。」

エビスはただじっとプリントを眺めて

やはり馬鹿ですね。と微かに笑う。

「消してあるのが正解なんですよ」

だから馬鹿なんです。

プリントを折り畳んで職員室へ向かった。




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あきゅろす。
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