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NARUTO



ジリジリ照らす太陽の陽射しが硝子を通り抜けて室内に入り込む。


『・・・あちー』


机の上にぐったりと上半身を乗せるナルト。

季節は夏になり、夏休みも近付いて来ていた。


サスケとサクラ、イノは大会に向けて部活に没頭するようになり、シカマルとナルトで生徒会を回している。


多忙の時期は収まるがそれでも量はある。


量はあるが二人で出来ない量ではない。だから他の三人には部活を専念してもらうよう伝えた。


『今度かき氷作って食べてやる・・・っ』


「それいいな、かき氷。」


ペンを回してナルトを見ると、にかっと笑っていた。


二人の時間が増え他愛のない会話もするようになったし

一緒に帰るようにもなったり、時々昼を食べるようにもなっていた。


ナルトが生徒会の手伝いをしている事は生徒達に知られるようになったが、三人が良く部活をしている姿を見ている為信頼はされていた。


委員会の資料を纏めて綴じていく作業をしている時、ナルトの携帯が震えた。


『・・・行ってきます?』

メールを見ると差出人は母親からで、ナルトは首を傾げたまま内容を見た。


『あれ、今日からだったっけ?』


数日のやり取りを思い出すと、ナルトは日付を間違えていたのに気付く。


父親の出張に着いていくと言った母親は、二人でアメリカへ向かう空港にいるらしく


だから今日は色々いってたのか、と思い出した。


『まぁ・・・いっか。』


よくある事だし、とメールを送信してポケットへしまう。


「用事あったのか?」


『ううん。父ちゃんの出張に母ちゃんが着いて行くの、明日じゃなくて今日だった。』


「・・・アホか。」


なに忘れてんだ、と呆れ返るシカマルにナルトはけらけら笑う。


『入学式の日もあったし、新学期もあったたなー。』


仲のいい両親は、家の中でも外でも寄り添って手を繋いでいる程で


ナルトは幸せな事だと感じている。


ナルトの中身は意外な一面も多く、シカマルは時々呆れる事も少なくはない。


そしていま一番彼が困っている事と言えば


『委員会資料終わったー。』


「次これな」


ぺらりと見せる用紙に書かれていたのは、夏休みの予定表だった。


とことこと近付き眺めると、ナルトの頬は膨らむ。


『夏休み中に仕事なんかあんの?』


「部活や委員会活動とかあるだろ。」


ほかにも二年生には修学旅行があり、イベントである学園祭や体育祭もある。


『生徒会暇なしだろ・・・』


シカマルの机に突っ伏すと、風にのって香るナルトの甘い香り。


彼はこの香りに時々困っていた。


キバとその話になった時、香りの違いに気付いたからだった。


最初は確かに甘かった。


けれどそれが変化を見せた事に気付くと、いつしか自分が好きな香りになっているのに。


「ただいまー!」


『お帰りー』


イノとサクラが部活から戻ってきた。


「どうしたのよ、突っ伏して。」


サクラが問い掛けると理由を告げれば二人は顔を見合わせて笑う。


「生徒会だもの、仕方ないわよ。」


『おれは手伝いなの!』


「あ、それ余り思ってなくて役員になってるってなってんのよ」


二人の言葉にナルトは頭を殴られたようなショックを受ける。


「実際ナルトが居てくれて助かってるもの。」


「部活してこっちが疎かになってるのは申し訳ないけどね。」


感謝してるよ。と二人は笑みを浮かべてナルトに告げた。


『俺の・・・夏休み』


「あれ、予定あったっけ?」

『──・・・。』


これといってダラダラ過ごす予定だったナルトは、ハッキリとした理由をサクラに返せられなかった。


「宿題早めにやらないとまた大変よ?」


『宿題だりぃ』


一番嫌な言葉。


なんせ計算が早くとも数学が苦手なナルトは、いつもこれだけが仕上がるのに時間がかかっていた。


「でも今年はシカマルがいるから教わったら?」


「俺かよ・・・」


面倒そうな顔を浮かべてイノを見て、ナルトは苦笑を零す。


『大丈夫だって、俺ってばちゃんと提出できてるから。』


「あんた、明日補習じゃないのよ。」


サクラの一言にナルトはしゃがみ込む。


『言っちゃダメっしょ!』


「ナルト明日補習なの?」


イノが聞くと気まずい表情を浮かべてナルトは口を開いた。


『・・・この前のテストで解答が全部ズレてた』


その言葉にイノとシカマルは声を発する事すら出来なかった。


けれどサクラはよくある事よ、と呆れ顔を浮かべている。


「おっちょこちょいの域を超えてるわね。」


『明日ヤリが降ればいいんだ!』


しゃがんだまま唇尖らせてふて腐れていた。




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あきゅろす。
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