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NARUTO
十二


夜中だったが、綱手にシズネ、それにサクラも駆け付け、出産の用意を進める。


まだ破水しておらず子宮もまだ全開していなかったが、あと数時間で産まれるだろうとシカマル達に告げる。


『シッ、シカ、シカマル・・・っ、シカマルどこ・・・っ』


痛みに耐え顔を歪ませながら必死に手を伸ばすナルトに、大きくて温かな手がナルトのそれを包む。


「ここにいる、ずっとここにいる。」


だから、と額に張り付いた髪の毛をかき揚げさせ、そこにキスをする。


「頑張って赤ん坊を見せてくれ。」


所詮男は隣で支えてやる事しか出来ないとシカマルは思い、手を握り触れてやる事しか出来ない。


『シカマル・・・』


「どうした?」


痛いのも、苦しいのも変わらないけれど、どうしてもナルトはシカマルに言いたい言葉があった。


『俺を、親にしてくれて、ありがとう』


「あぁ。」


『俺を、おれ、を・・・っ、ふぅ、うぅ』


破水しました!とサクラの声がかかると、ナルトの呼吸も変わり身体全体が上下に動く。


「ナルトあと少しで会える、頑張るんだ!」


綱手の言葉に頷き、ナルトは力む。

シカマルも必然的に握っていた手に力が籠ってしまう。


「大きくすったらまた力んで!」


『・・・っ、うぅ、んーっ!』


「頭が出てきた、もうひとふんばりだ!」


出したいという感覚に襲われ、呼吸を整えまた力むと、ずるり、という感覚が伝わった。


「綱手様、ナルト君産まれたよ!」

シズネが大きな産声で泣いている赤ん坊を取り上げ、直ぐにナルトの胸元へと


『あ、赤ちゃん・・・ありがとう、産まれてくれて』


泣いていた赤ん坊は、ナルトの体温に触れピタリと泣き止む。


シカマルも上からやっと出逢えた我が子の頬にふれ、うっすらと瞳が潤んでいた。


一人目はシカマルと同じ髪色で、瞳はナルトと同じ蒼の色をした男の子。


まだ付いていた臍の緒はシカマルに切って貰い、再び痛みが強まる。


もう一人の我が子を早く抱いて、姿を見たいと。


『・・・っ、はぁっ、っく・・・っ』


「ナルト頑張って!あと少し・・・っ!」


ずるりと頭が見えた時、サクラの表情はナルトからは見えないが、真っ青になったのをシカマルが気付く。


「しっかりしろサクラ、シズネ吸引するぞ!」


「はいっ!」


何が起こっているのかナルトには分からず
様子が違う事に力が抜けてしまうが、吸引されて出てきた我が子を見て血の気が引いた。


『なぁ、ばーちゃん・・・っ』


「焦るな!ちゃんと息はしている!」


全身真っ青で、首には臍の緒が巻き付いていた姿に、ナルトは涙が溢れ、それをシカマルが拭う。


「大丈夫だから、信じていればいい。」


なんども、なんども聞いたシカマルの大丈夫は、何時もナルトを安心させる。


「ちゃんと手足が動いてるから、大丈夫だ。」


けれど産声が聴こえない。聴きたいのに、聴こえない。


処置を施され、詰まりが解消されれば直ぐに、産声をあげた。

ナルトはそれに安堵し、やっと胸元へと我が子を抱いた。


二人目はナルトと同じ髪色をし、瞳はシカマルと同じ黒の男の子。


『色は違うけど、そっくり・・・』


「ナルト、お疲れ。ありがとう」

また、シカマルのキスが額へとおちると、ナルトは微笑んで返事をすれば糸が切れたように瞼がさがり眠った。


「サクラ、何泣いてんだ、しっかりおし!」


「で、でも綱手様だって・・・っ」


泣いてるじゃないですか、とサクラに突っ込まれると綱手はやかましい!と一喝する。


二人の元気な産声が響き、シカマルは双子を一人ずつ抱き上げ、額にキスをする。


愛おしい者と出来た、愛おしい我が子達。


互いの遺伝をしっかりと色は継いでくれた事と、幸せそうに眠るナルト。


シカマルは本当に幸せだと感じる。


「これからが大変ですよ、なんせ双子ですからね。」


シズネが微笑みながら伝える。


賑やかな毎日になるだろうと、シカマルは思うと苦笑を浮かべた。





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