NARUTO
十一
出産予定日が後2日となり、入院の準備も万全に揃えいつきても病室へと向かえる。
気付けば仲間内に知れ渡り、サクラたち女性陣は良く顔を出してくれては良く動く双子の胎動を感じていた。
如何せん双子な為か、動くのも倍で痛みも倍。日に一回は抉られるような感覚が一番辛かった。
それが今では動きが大人しくなってきたのに、双子達も出ようとする準備に入っているのだとナルトは思う。
今日も縁側で洗濯物を畳んでいた時、チクチクとお腹の痛みが始まった。
出産前にある 前駆陣痛だと綱手にも言われ、痛みは様々で本陣痛になる間隔も人それぞれだと言われた。
『きっとまた収まるか・・・』
さして気にした様子を浮かべず、作業を続けた。
ちくちくちくちく、痛んではすぐ収まったり長引いたりと疎ら。
そのままナルトは夜ご飯の支度へ取り掛かると、痛みが変わった事に気付く。
動くことも余りせず、もう近いのかも知れないと思うと、ナルトは食事の用意を急いだ。
そのまま数時間が経過し、明日産まれるかもと今か今かと楽しみにしつつ、痛みに耐えるナルトにヨシノが腰を擦る。
「ナルちゃん大丈夫よ、二人も会うために頑張ってるからね」
『・・・っ、うん・・・っ』
感覚がまだ15分。これが数回きたら本陣痛だろうとヨシノは考え、シカマルに用意だけするよう告げる。
たまに出産間近というおしるしが出ないまま出産を迎えるが、ナルトはそれだった。
玄関から近い和室に布団をひき、そこで過ごす事となったが、痛みに耐え疲れ痛みが引いた時にうっすらと眠るというのが続く。
此処で寝ないでと頼んだが聞き入れて貰えず、なるべく起こさないよう声も動きも控えようとしていた。
『・・・っ、は、はぁ・・・っう』
痛みが変わり、呼吸すら辛くなり、それに耐えようと背中を丸めていて間隔を計るのを忘れる。
10か月、懸命に生きて大きくなったまだ見ぬ我が子
男ではあるが、母性を感じ、愛を囁いてきた。
一生懸命産まれるために頑張っている我が子の為に、負ける訳にはいかない。
自分も頑張らなければと痛みに耐える。
『がんばれ・・・っ』
がんばれ、とお腹を擦りながら陣痛の間隔を計ると、5分間隔になっていて驚く。
『10分はどうしたよ・・・っ』
我が子もまさか意外性か?と頭の中で冗談を呟く。
「ナルト、大丈夫か?」
『ごめん、シカマル・・・なんか5分間隔になった』
「10分はどうしたよ、10分は・・・」
すっ飛ばし過ぎだ、と苦笑するとつられてナルトも苦笑する。
そして荷物は親に任せてシカマルはナルトを横に抱いたまま病室へ急いだ。
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