NARUTO
八
病院へいく途中、シカマルは口を開く。
「俺はな、お前が無理するのだけは我慢出来ねぇんだ」
『だからって・・・』
今日はどうしてこんなに具合が悪いのか、ナルトの額から汗が滲んで来る。
「俺が最優先するものはナルトと、その腹の中にいる赤ん坊達だ。」
『・・・ごめん、ね。』
シカマルの気持ちが嬉しくて、具合が悪いのを忘れてしまう。
病院へ辿り着くと、看護師が待っていて直ぐに診察室へ連れていかれた。
シカクが綱手に知らせてくれたおかげで、ドアを開ければ綱手が待っていた。
「随分顔色が悪いな。粗方シカクから内容は聞いたが・・・」
首もとへ触れると体温が下がっているのに気付き、眉をしかめた。
「腹痛はあるのか?」
『家出る前ぐらいから、ギューってする。』
直ぐに検査をされ、心音を聞かされた。
「赤ん坊は元気だ。たがこのまま続くなら切迫流産もありえるな。」
『・・・・・・っ』
「五代目、どうすればいいんです?」
綱手の言葉に二人は不安になるが、言葉を待った。
「安静にしているだろうが、見るからして、悪阻が酷くて栄養が足りていないようだな。」
良くある事だ、とナルトの肩に手を置いた。
「点滴をするから病室へいくぞ。サクラを付けさせる。」
『サクラちゃんを?』
不安げな顔になったのは、サクラが受け入れてくれるのか
「信用できないか?」
『そうじゃ、なくて・・・ただ俺、俺・・・っ』
自分でもよく分からない不安が時々ナルトをおそってしまう。
「ナルトの場合は特殊だからな。不安な事が多いだろう。外にも出られないし、サクラなら口外しないと私は思うが、どうだ?」
「俺はただナルトの安全しか考えてないっすよ。女は口を滑らすから不安だし、男は邪魔でしかないんすよ」
鬱陶しげに告げれば綱手は呆れ顔を浮かべる。
「俺はナルトを親にしたいんです。あんな事が起きないようら産まれるまで余り知られたくもない。何処で漏れるか分からないっすから。」
今は性別が違うが、もし里を九尾を狙う者の耳に入ったら、間違いなくナルトが危ない事を。
「けど、ずっと家に居て話し相手が少ないとナルトも塞ぎこんじまうし」
「なら、いいんだな?」
「女の方が話しやすい事もあるでしょうから」
なら呼んでくる間に病室へ行くように、と言われ二人は向かった。
『シカマル・・・』
「どうした?」
『おれ、俺は・・・ごめん』
ベッドに座って俯いてしまったナルトに、シカマルは隣へ座った。
「不安はなんだ?」
『産む事も、産まれた後も・・・それにこんなんじゃ・・・』
拳を強く握りしめて、肩を震わせた。
シカマルは黙ってナルトの言葉に耳を傾ける。
『こんなんで、丈夫に産まれてくれるなか・・・シカマルが、俺を忘れていないのか、不安なんだ』
男の自分よりも、こっちがいいと思われたらどうしようと
シカマルの事が気になって仕方がない自分がいる事を
「誰が誰を忘れんだよ。」
不機嫌な声でナルトの顎を掴み上へ向かせると、目元を赤くしている姿。
涙脆くなったとシカマルは思うが、嫌いではない。
「本来の姿で支障がなかったら、戻してるにきまってるだろ。もっと自覚しておけ、それを知るのはまだ先だろうがな。
だから泣くんじゃねぇ、と優しいキスをすると、ノックが鳴りドアが開くと俯いているサクラだった。
「シカマル。あんたナルトがいながら知らない女を身籠らせたって、何よそれ・・・っ」
「「はぁ!?」」
サクラの言葉に二人は驚き、怒りの空気を包みながら近付くサクラ
『サッ、サクラちゃん誤解だってば!』
「知らない人間にサクラちゃんだなんて気安く呼ばないでくれるかしら。」
不愉快。と黒い笑みで告げられ、ナルトは更に焦った。もしかしたらシカマルが殴られてしまうんじゃ、と。
緊迫した空気が流れた。
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