NARUTO
四
シカマルが普段より早く帰宅した事にナルトは驚く。
何時もなら食事の支度が終わった後に帰って来るが、やはり早く帰って来てくれると嬉しく感じる。
『お帰り、シカマル。お疲れ様。』
「ナルト、もう終わりそうか?」
『うん。もう終わるから先に風呂でも入ったら?』
そうする、と額にキスを落として風呂場へと向かう。
『──・・・っ』
姿が見えなくなった途端、ナルトは菜箸を置いて額に触れる。その顔は赤く瞳が潤む。
平常を装っているが、本当は恥ずかしくて愛おしいと感じてしまう。
シカマルを好きすぎて、重たいと感じられないよう隠している。
『ずるいんだって・・・』
さらっとするなんて、と呟く。
シカマルが相談に乗ってくれる以前から
、ナルトはもしかしたらと気付いていた。
自分はシカマルが好きなのではないだろうかと。
けれど自分は同性で、里の危険人物であり、人柱力。
そんなのが、人に恋をするのが間違いだと
ましてや同性。気持ち悪がられて、嫌われてしまう。
けれど他の者からの好意を受け入れられなかった。どうしてもダメだった。
それがいま、隣に居てくれて愛してくれている事に、ナルトは幸せだった。
望んだ願いが一つ叶った。
「──・・・ナルト?」
『・・・へ、あ、うわぁっ!!』
シカマルが上がるまで考えていたせいか、視界に映った事に驚き体勢が崩れる。
「あぶね、どうした?」
『あ、ありがとう・・・』
シカマルの事を考えていました、だなんて恥ずかしくて言えない。
微かに頬を染めた姿に、シカマルは口許に弧を描く。
「何か考えてたか?」
『何も・・・ただ早く出たからビックリしただけ』
視線を合わせると、しただけだってばは紺色の浴衣をはだけさせ、乾いていない髪の毛はかき揚げられ、色気が漂っていた。
シカマルから漂う、自分と同じ香りが、どうしてか頭をくらりとさせる。
「後にしようと思ったが・・・」
『なに?』
何かあるのだろうかと不思議な顔を浮かべると、抱き上げられた。
『ちょ、シカマルなに・・・っ』
「真剣な話をしてぇんだ。」
『──・・・っ』
ぞわり、と一気に押し寄せる不安と恐怖心に、ナルトは呼吸すら止めてしまった。
「これからの事を話してぇんだ」
『あ、やだ、俺や・・・っ』
ぼろぼろ流れ落ちる涙を気にせず、ナルトは身体を震わせる。
「勘違いするな。昨日の事が分かったからその話をするんだ。」
抱き着かせたままソファーへと座り、シカマルはナルトの顔を覗き込む。
「ナルト、俺と結婚しろ。」
『・・・・・・は?』
いきなりの事にナルトは目を丸くして見上げると、シカマルは冗談を謂っている顔はしていなかった。
『なに、言って・・・』
「女になったナルトには、本来無い筈の子宮があったんだ。」
なにそれ、と言いたげな顔に、シカマルは苦笑する。
「俺とナルトの子供が作れるんだよ。」
『う、うそだ、そんなの嘘だ・・・っ』
夢のような事があるはずが無い。それに
『でも俺は子供はつくらな・・・っ』
「──・・・俺と結婚して俺とナルトの子供を産め。」
重なった唇が僅かに離れ、シカマルは真剣な顔でもう一度告げた。
「抱くのは女の姿だが、ナルトに変わりはねぇ。」
『だ、駄目だってば、俺は、俺は・・・っ』
「ナルト、忘れたのか、お前が誰の子供で、母親がどんな人だったのか」
そんなの、わかってる。
分かってるからこそ怖い。
「俺だって同じだ。過去も、九尾の事も引っ括めてナルトを愛してる。」
だから
うつむき泣いているナルトの頬を包み、上へとあげさせる。
「俺の妻になって、俺達の子を産んでほしい。」
『・・・・・・っ、はい。』
卑怯だと、思った。
そんな愛おしむ顔や、目で言われたら
あんな強い眼差して言われたら
「幸せになろう」
昔願った事は
家族の無償の愛情と温もり
それを自分が此れから築き上げようとしている事に
『シカマル』
「ん?」
『俺を愛してね。』
たくさん、たくさん愛して下さい。
「あたりまえだ、誰が逃がすか」
明日は実家に行こう、と約束をして二人はそのままたおれこんだ。
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!