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NARUTO


シカマルに腕を掴まれたまま、サクラが調合した薬を患部に塗られた。


『・・・っ、くぅー・・・っ!』


後からくる痛みが強くてそれに堪えようと力むと、顔は赤くなり瞳は潤む。


「仕方ないわよ、あんた掻きすぎて傷付いてるんだもの。」


「嫌なら掻かないでさっさと治すんだな。」


二人の言葉にむすっとした顔を浮かべるが、ナルトは気付く。


『まさか寝てる時に痒くなったら・・・』


「塗るに決まってるでしょう。」


スッパリ言い捨てられると、がくりとナルトの身体から力が抜ける。


「何やってんだ。」


『・・・・・・。』


シカマルから解放されると、そのまま床に座り俯くナルト。


『寝不足はお肌の敵よっ!』


「じゃあ掻きすぎて頭ハゲにでもなるのね。」


『それは嫌だ!』


呆れ声でわざとそう呟けば、ショックを受けた顔を浮かべるナルト。


(本当に単純なのは変わらないわね。)


『俺明日になったらもう痒くならねーし!』


明日は休みで一日凌いだら直ぐに良くなる。


ナルトはそう考えていた。


「お前、薬塗らないつもりか?」


『塗るに決まってんじゃん!俺は治りが早いから一日で充分!』


ニシシと笑うナルト。


「ちゃんと塗ってよ?」


『大丈夫大丈夫、薬離さず持ってればいいだけだしさ。』


こういう時誰かがナルトの傍に居てくれる人が居てくれれば


ナルトが怪我をする度にサクラはそう感じてしまう。


「ちゃんと出来るの?」


『サクラちゃん俺ってば案外しっかりしてっから大丈夫だってばよ』


またニシシと笑う。
それが時々誤魔化すように笑う時があるのを、サクラもシカマルも知っている。


今のナルトは、場所も分かっているし、塗る事なんて簡単だとしか考えていない。


『じゃあ俺は報告書提出してくるー!』


ありがとう、と告げて詰め所を後にした。


サクラとシカマルは、出て行ったドアをただ眺めていた。


「本当に大丈夫かしら・・・昔からしっかりしてないじゃないの」


やっぱり彼女って必要よね、と呟きシカマルと挨拶をかわしてから別れた。




「虫刺されだって?」


綱手の居る火影室へと報告書を提出しにきたナルトは、先程の事を説明した。


そう、と返すと綱手に手招きをされ近付く。


「見せてごらん」


『さっき血出てたらしいから気持ち悪いかもよ?』


「どれだけ痒かったんだ、いいから見せろ」


『あいよー』


また肩を落として綱手の方へ頭を下げた。


はい、と見せると綱手は小さな頭を両手で挟み眺めた。


「掻きすぎだ・・・それにこれは」


『薬ちゃんとやらなきゃ駄目だってサクラちゃんにも言われた。』


髪の毛を分けて傷口を眺める綱手の表情は険しかった。


この虫に刺されれば掻けばそれ程範囲が広まり、人の精神力を崩してゆく。


痒みで寝不足にもなり、我慢出来ず掻きむし狂っていく者も少なくない。


ましてやナルトには見守ってくれる家族がいない。


恐らく一日我慢すれば治ると思っているだろうと綱手は考えた。


「一応予備の薬を作らせておく。」


『大丈夫だって!』


「一応と言っているだろ。痒みは人により違う。出来たら鳥に届けさせる。」


へーい、と気力のない返事をすると綱手はナルトの肩を軽く叩く。



「塗る自信が無いならここで過ごすか?」


『それ響きいいけど間違いなく仕事させられる。』


取り敢えず寝てみて駄目なら考えようと、ナルトは火影室を後にした。


『まだ、消えねぇのかよ』


シカマルに掴まれた両腕の感覚が中々消えず

ナルトの胸はトクントクンと動いた。




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