NARUTO
弐
夏が近付いて来た頃だった。
「ナールト」
『カカシ先生?』
朝教室に向かっている途中、全体から怠そうな空気を醸し出すカカシは、白いマスクをして白衣を着ていた。
「ナルト今日ヒマ?」
『ヒマだけど・・・もしかしなくても雑用ー?』
嫌な顔で尋ねるとニッコリ顔のカカシを見て肩を落とす。
「じゃあ放課後お手伝い宜しくねぇ、先生と二人きりで嬉しいでしょー」
『嬉しくねーっ!』
怒鳴るとカカシば職員室で待ってるからねー゙と言い残して立ち去って言った。
『ありえねぇ・・・』
素直に暇だと言わなければ良かったと、後悔をしながら教室へ入っていった。
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放課後、ナルトは素直に職員室へ来たが表情はむくれていた。
「なーにふて腐れてるのよ」
『カカシ先生と一緒なら、俺じゃなくて女子の方が人集まるじゃん。』
「やーだよ。先生はナルトがいいんだもの」
゙あーそゔと肩を落とすナルトの姿を、カカシは優しい眼差しで眺めていた。
『俺さぁ、普通に何かの整理だと思ってた訳よ』
「うんうん」
手伝う場所へやってきたナルトは、身体を震わせる事しか出来なかった。
けれどカカシはにこにこした顔で白衣を脱ぎはじめる。
『何でプール掃除なんだよーっ!!』
二人で終わるかぁ!と一人で突っ込むナルトと、カカシはくすくす笑う。
「頑張ったらご飯奢るからねー」
『そー言う問題じゃないってば!何で二人でプール掃除なんだよ!』
アホか!
文句を言いながら掃除をする為に、足や腕を捲っている姿が可愛らしく見えるカカシ。
「滑るから気をつけてね」
『はいはい。』
デッキブラシを受け取り中へ入った途端、ぬるりとした感触がおそう。
『ひっ!ぬっ、ぬるぬるする・・・っ』
青ざめた顔で呟いた言葉は、しっかりとカカシの耳に入った。
『これ、ずっ転んだら最悪なパターンだ・・・』
間違う事なく藻臭くなる。
プール全体を見て、ちんたらしていたら夜になってしまう。
二人で終わるか?
『なーカカシ先生』
「んー?」
『なーんで他に呼ばなかったの?』
「えー、だって作業にならなかったら嫌だもん」
『は?』
人数が居れば作業効率いいじゃん。
そりゃこういった作業は女子より男子向きかも知れないけどさ
【カカシ先生の素顔が見たーい!】
ーー・・・あぁ、そう言う訳か。
『そら邪魔になるわな』
「なーにか言った?」
『べーっつにー』
人の秘密を暴くには
それなりの覚悟を持たなきゃならない時があるって事を
ちゃんと分かっていればいいのに。
「あー・・・暑いねぇ」
『まぁ、こんだけ天気が良ければ。なぁカカシ先生』
「ん?」
『寒い日は温かそうだけど、夏は通気性のいいのにしないと、汗疹になるから気をつけなよ』
ただでさえ蒸れて大変そうなんだから。
それをずっとしているには、理由あるんだろうな。
普通これだけ暑かったら蒸れたり、呼吸が苦しくなったりするだろうから外すのに
それをしないで平然としていられるのは
どれだけ大変だったんだろう。
「ナールト、ありがとう」
『は?あ、いや、べつに。』
頭を撫でられた事に驚き反応が遅れた。
振り向くんじゃなかったと後悔したのは、カカシが微笑んでナルトを見ていたからだった。
「ナルト君は優しいねぇ、先生ほれちゃいそう」
『はいはい、アホ言ってないで早く終わらす!』
──…なんでドキドキしてんだよ。
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