NARUTO
時に不器用で好きと嫌い
日付が変わろうとしていた時刻に、ナルトは里内の任務から帰還した。
『(今日の夜ご飯はコンビニ弁当だな。)』
お腹をさすりながらコンビニを目指すナルトの肩に、誰かの手が乗っかった。
『あれ、カカシ先生何してんの?』
「それはこっちの台詞ね。仮にもまだ未成年のナルト君がこんな時間に出歩いてなーにしてるのかな?」
背後から肩を叩いたのはカカシだった。
普段ならこんな遅くまで外に居なく寝ている事を知っているカカシは、笑顔を浮かべているが内心では黒いもやがうごめいていた。
『いやーもう今やっと任務から解放されてさ、お腹空いたから今からコンビニ弁当買う所』
「なに、随分長引いたじゃない。ナルトさあ、先生と一緒に食べるの付き合ってくれない?」
『はあ?カカシ先生まだ食べてなかったってば?』
お腹を摩っていた手がぴたりと止まり驚いた顔でカカシを見上げるナルト。
カカシは一つ笑みを零したあと、ナルトの手を取った。
「ナルト爪伸びすぎだよ。男は常に短くしておかないと」
『忘れるんだよね、爪。』
結構伸びている爪をじっと眺めてると、カカシはナルトに爪切りを渡す。
『普通持ち歩く?』
訝しい顔でカカシを見れば、本人は首を傾げていた。
「言ったでしょ、男は常に短くしておかないとっ、てね」
それだけで意味が通じる人は居るが、生憎鈍いナルトには意味が伝わらずただ納得した。
「・・・ナルト、なにその切り方は」
『は?爪切るのにやり方なんてあった?』
「そんな手の平返して握りながら切らないでしょ」
『そうなの?教えてくれる人居なかったから知らなかった。どうやんの?』
その言葉にカカシははっ、とした。
ナルトは何時から一人で寝て起きて
何時から一人で服を着たり脱いだり
何時から家事をやりだして
何時からーー・・・
『・・・カカシ先生?』
「あぁごめん、こっち座って」
ん、と返事をしてカカシの足の間に座った。
これには予想していなかったカカシは目を見開いたが、直ぐにふわりと目を笑わせた。
「簡単だよ、こうやって切るんだよー」
『へえー。俺間違いだらけかも』
「そうなの?じゃあ今度先生ご飯作ろうか?」
『それは嫌だ。絶対作られたくない。』
「えー、先生ショックー!」
『って感じしないけど。』
間違いなくナルトは手料理をしないのに、何故嫌なのかカカシは分からなかった。
「どうして嫌なのよ」
『家で誰かと食べるとか、作ってもらうとか知らないし、それに・・・』
言葉を溜めて俯くナルト。
声が少しだけ震えている事に気付いたカカシは、爪を切るのをやめて頭を撫でた。
「もしかして寂しくなっちゃうから?」
『・・・っ』
「ナルトは一人で今日まで頑張ってきたもんね」
えらいえらい、と親が子供をあやすように優しい声で頭を撫でるカカシに、ナルトはじわりと目に涙がたまった。
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