NARUTO
参
昨日の雨はすっかり上がり、太陽が降り注いだ。
やっぱり拭いただけじゃ駄目だったらしい。
なんてお決まりな展開になるんだ。
頭の中で一人ゴチたが、寝てれば治るとナルトは再び寝直す事を決めた。
『――・・・飴』
飴が舐めたい。
昨日テーブルの上に置いた飴を、面倒だからと影分身で取り、何個か食べやすいよう袋を開けておいた。
ころころと舌で飴玉を転がして、無くなった頃には眠った。
「あら?ナルトったらまだ報酬取りに来てないのね。」
受取表がまだ貼ってあるままなのをサクラが気付き、考える。
この時間なら間違いなく起きていて、さっさと終わらせているはずだと。
この歳になってもやはりサクラはナルトを気にかけてしまうのは、もう癖みたいなものだ。
「なーにやってるんだか」
その同じ台詞が再び口にしたのは、夕方頃だった。
ナルトは綱手を大切にしている為、何時もお土産を持って来るのに未だ現れず、綱手もシズネも不思議がった。
それだけでは収まらず、来る事を知っていた忍達は、ナルトに何かあったのかと心配しだした。
「サクラ、ナルトはどうした!?」
「ナルトまだ来てないみたいで・・・」
サクラも全く分からなくて顔を伏せてしまう。
綱手からはため息が零れた時
【昨日雨に打たれてたから案外熱かも知れませんよ】
仮面を付けた暗部が綱手に伝えると、また直ぐに居なくなった。
「そうか、その可能性はあるな。」
「私ちょっと見て来ます。」
サクラもまた居なくなりナルトの自宅へと向かった。
「・・・居ない?」
チャイムを鳴らしても反応は無く、サクラは一度外へ出て窓から様子を見ようと向かう。
見覚えのある人影に驚きつつ近づいた。
「――・・・サスケ君?」
「ぐっすり寝てるぞ」
「まだ寝てるの?」
サスケの言葉にサクラは呆れ窓から見れば、反対側を向いてベッドで寝ている姿を見た。
「ほんとだ。ねえあれ、ねぇサスケ君」
「あ?」
ちょいちょいと手招きするサクラに、サスケは眉を顰める。
「あそこにあるのって飴の袋?」
「それがなんだ」
「あんのドアホがぁ!!サスケ君ちょっと様子見てて!」
だっ、とサクラは駆け出して行った。
サスケからしたらサクラの意味も、飴の意味も全く分からなかった。
じーっと眺めていたらナルトの身体がもぞりと動く。
虚ろな目でむくりと起き上がるが、全く力が無いように見える。
手を伸ばしたのは、飴の袋がある山。
けれどそれが口に運ばれる事が無かった。
『──・・・暑い』
がらり、と窓が開きナルトはベッドから降りたが、力が入らずそのまま床に座る事となった。
『・・・はぁ』
熱が高く着ている服は汗で湿り、気持ち悪くて顔を顰める。
「ウスラトンカチでも熱出すんだな」
『それはもう、俺はウスラトンカチじゃないって事、だろ』
嘲笑って言ったが、ナルトの表情や声がどうしてもサスケの耳や目を離れさせなくさせた。
「バカが」
『うるさいっての・・・』
ずるずると身体がすべり、サスケは室内へはいりナルトの額に手を当てた。
『・・・っ!』
「お前やっぱバ・・・なんだ」
『サスケの手、冷たくてキモチーから・・・』
サスケの冷たい手を掴んで離さないナルトは、気持ちが良くて首筋に持っていった。
「汗拭くぞ」
『え、無理。』
「あ?」
こいつ何言ってんだ、とサスケは思いながらナルトを見下げる。
『脱ぐ力出ないからいい。』
握っている手の力は、幼児でも振りほどけるぐらいの弱さ。
チッ、と舌打ちを零しサスケは立ち上がろうとした。
『やだって・・・』
「身体拭かねえと何時までも下がらねえだろうが」
『やーだー・・・』
掠れる声で駄々をごねるナルト。
人がやってやると動こうとしているサスケは、イラつきはじめた。
「てめぇガキじゃねえんだから駄々こねんな」
『手ぇ離しちゃやだってばぁー』
ほろほろと泣きはじめた姿に、サスケはぎょっとして驚いてしまった。
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