[携帯モード] [URL送信]

NARUTO



森へ向かっているシカマルは脚を止めた。


「──・・・ナルト!?」


ナルトの悲鳴が確かに聞こえ、シカマルは急ぐ。











『・・・っ、な、んだよ・・・これ・・・っ』


手足に絡み付きナルトの自由を奪った謎の物体。


【可愛いだろ?俺達が孵化した子供だ。】

にゅるにゅる動く物体に触れて頬を染める片割れは、可愛らしい顔をしていた。


『・・・あ、や・・・っ』


【この子が身体に這ったらやめられないよ・・・余りにも気持ち良すぎてさぁ】


【ハツ、何見て興奮してる】


【だって僕達意外にこの子の良さを知られるのは嫌だ!】


あんなどろどろしたのが良いと言う意味が全く分からない。


俺が最初に願ったのは


『ひあっ?!』


ヌルヌルがナルトの服の中へ入ってきた。


やだやだ気持ち悪い!


【さっさと卵寄越しな!】


『やだってば!しかももう孵化してるから無駄だってばよ!』


【もう孵化しただって?嘘言うな!一日二日でなるものか!】


『なったもんはなったんだ・・・っあ!何すんだ返せ!』


【ふん、どんな子か見てやろうじゃないか】


巾着を奪われ、口を開かれた。


ナルトは力を入れようにもこのヌルヌルのせいで力が込められない。


【うそだ!どうして人になってる!】


【お前どうやった!?正直に言わないとこの子供殺すぞ!】


『子供は関係無いだろ!それに俺だって知りたいってばよ!』


殺されたくない。

方法を知っているならば、罪を背負ってでも教えてるのに


【何かをしたんだろ、言え!】


『やめろっ!』


クナイの切っ先を背中にひたりとチビナルに向ける男。


【お前が技を使えばガキを殺すぞ!】


『その子供に何の罪があるってんだ!ふざけんな!』


最初に思い描いたのは

九喇嘛の友になれればと、白くて大きくて綺麗な狐。


いつか九喇嘛の憎しみが無くなり外へ出た時に、孤独は可愛そうだと思って


【そんなの知るか、お前には子供出来てどうして俺には出来ない!ムカつくから殺してやる!】


違う男がチビナルの胸目掛けてクナイを放った。


『やめろぉぉぉーっ!』


涙を堪える事が出来ず、ただ力の限り叫ぶしか出来なかった。














ボン、と大きな音がこだました。


『ごめん、ごめん・・・っ』


何もしてあげれなくて。


生まれてきてくれたのに、名前すらもあげる事が出来なくて。



「ナルト!──・・・っな?!」

ざっと現れたシカマルはナルトの姿と現状に目をみはった。


【なななななー・・・】


【しっしししっ、白のばけぎっ、ぎつ・・・っ】


男二人は白目を向いて気絶した。


「ナルト、お前がこれを呼んだのか・・・?」


『・・・・・・。』


ヌルヌルはいなくなり、俯いたままぴくりとも動かないナルト。

そんなナルトに近付き肩を掴む。


「おいナルト!」


『・・・たんだ』


「あ?」


『助けられなかったんだ・・・折角うまれた命なのに、どんな事があっても護らなきゃならなかったのに!』


強く拳を作って涙を零すナルト。


ナルトの近くでぐるぐると生き物の喉音が聞こえて顔を上げた。


『な・・・で、なんで・・・っ』


大きくて美しい白い狐。


ぼろぼろ涙を零し狐に触れ、意識を手放した。


だがこの大きな音と姿に黙っている者はいない。


【シカマル】


「──・・・親父か」


【そこに居るのはナルトか】


シカマルの父であるシカクが隊を引き連れてやって来た。


シカマルは自分がみた事を説明し、侵入者を引き渡した。


「・・・こいつら」


「知ってんのか?」


ああ、と返すとシカクは口元に手を当て考えた。


「まさかこうなるとはね」


綱手が現れた。


白い狐の身体で眠るナルトを見て、綱手は頭をかいた。


「お前はどっちを望むんだい?」


狐はナルトの頬にキスをする。


それから直ぐに光に包まれると、ナルトの身体の上で動く物体に

綱手はただ優しい顔で微笑んだ。


「──・・・おめでとう、ナルト。」


お前なら、絶対に大丈夫だと信じてるよ。





[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!