NARUTO
七
静まる火影室にノックの音が響く。
「失礼します、綱手様・・・って、ナルト?」
『あ・・・サクラちゃんおはよう』
振り向くとサクラとシカマルが居た事に驚き、巾着を閉めた。
「ナルト、お前の気持ちは良く分かる。分かるがその子は・・・」
『殺せって言うのか?俺には出来ねえ・・・殺すことなんて出来ないってばよ!』
「ナルト違う!待てナルト!」
窓から飛び出したナルトは、山の方へ向かった。
綱手はため息と共にうなだれる。
全く分からないサクラは首を傾げてからあるものに気付き、それに触れた。
「小さな、肌着?」
サクラは懐かしいと呟く。
「綱手様、いくらなんでも言い過ぎでは・・・」
シズネが困った顔をして尋ねる。
綱手達は本当の理由を知っていた。
「まだハッキリ分からない所もある、それに・・・もしあのままでは消えてしまうかもな。」
「そんな!あんなにナルト君に似た可愛い子供なのに!」
「だが今のままではいずれシカマルに知られ・・・」
「俺が何すか」
全くシカマルの存在に気付いていなかった綱手は、ついに机に突っ伏した。
「綱手様、まさかナルトに子供が出来たんですか?!」
「子供じゃなくて・・・卵だろ?」
「シカマル君卵見ちゃったの?!」
サクラの問いにシカマルが昨日の事を思い出して告げれば、シズネが目を丸くさせる。
そして再びノックが鳴ると、慌ただしい足音が鳴る。
「次から次へと・・・一体なんだ!」
【東の森近くに怪しい者が二人居るとの報告です。】
「東・・・確か今ナルトが向かって行ったな。まさか・・・シカマル!?」
今度はシカマルが窓から飛び出して行った。
今日は朝から何なんだ、と頭の中でごちる綱手。
ナルトは東の者森の中をとぼとぼと歩いていた。
シカマルの子供が欲しいと願っていないのに
そんな事を願うより、女になりたいと願っていた。
そうすればもしかしたら、と。けれどどっちみち自分には無理な事。
母親のように力が弱まった時に再び里が襲われでもしたら
『──・・・誰だ』
なにかの気配がナルトの近くで感じた。
巾着を落とさないよう懐へと入れる。
【卵をよこせ】
【そこに入れた卵をよこせ・・・】
『誰が渡すか!お前ら何処の忍だ!』
現れた二人組を睨みつけると、男達はニヤリと笑んだ。
【素直に渡す気は・・・?】
『無いっ!』
誰が渡すってんだ!
【ならば力ずくで奪うのみ!】
瓶に入っている液体を手の平へかけると、それはどんどん大きくなっていく。
とろりと動くそれにナルトは身震いする。
【普通に奪うんじゃ味気ないからな・・・その卵を奪って俺達がっ!】
【くらうがいい!】
『──・・・っ!』
大きな膜がナルトへと向かう。
『う、ああああぁぁぁぁぁあっ!』
ナルトの悲鳴が森の中を包んだ。
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!