[携帯モード] [URL送信]

NARUTO



足元に小さな光り


それを持ち上げると光りは強まり、ナルトの胸は暖かな気持ちになった。



こんな夢を見るのはいつ以来だろうか、と思うほど











意識が浮上したのは変わった音がしたから。


『・・・あ?』


聞き慣れない音に視線を泳がせる。


何も見つからなくて外だと分かると寝返りをうったが、かしゃり、と頬に硬いものが当たった。


『・・・殻?ってまさか俺っ!』


もしかして潰してしまったのか、と気を落とした。

自分で卵を殺してしまった、と責めていたら頭に何かが付いたのを感じて取った。


『え・・・えぇ?』


手の平にのった小さな小さな子供を眺め、ナルトは目を真ん丸くさせる。


髪の毛は黒いけれど、瞳は自分と同じで輪郭も似ていた。


【あーうー・・・】


裸姿でちょこんと手の平に座る小人は、可愛らしい声を出してナルトを見上げる。


その可愛らしい声にナルトは胸がきゅん、となるが、真っ裸で寒いんじゃないかと思いタオルで包んだ。


『動物・・・じゃなかったのかよ』


小さな子供が卵から孵化するなんて聞いた事が無い。


ましてやそうだと教えてもらってない。


そもそも動物とも言われてもいなかった。


『バーちゃんなら知ってるよな』


裁縫が出来ないナルトは、寒がらないよう巾着の中に暖かそうなタオルを切って入れた。


急いで身支度を整えてからナルトは火影室へ向かった。



『てかなんで髪の毛が黒いんだ?』


謎過ぎて脚を急いだ。











『バーちゃん、卵の事で聞きたい事があるってばよ!』


ノックをしてから中へ入った。


入れば巻物を見ていた綱手の視線がナルトへと向かった。


「卵がどうかしたかい?」


『・・・それがさ』


言葉より見せた方が早いだろうと、緩く開いてる巾着を綱手に見せた。

綱手は訝しい顔でナルトを見る。


「なんだ一体・・・なっ!!」


『俺子持ちになっちゃった・・・』


驚く綱手と裏腹に、ナルトはしゃがみ込んだ。


「お前、この卵に何か吹き込んだかい?」


『俺は元気な子でって』


昨日の事を思い出すとシカマルとの事を思い出して、腕に顔を突っ伏した。


綱手に将来の事を話すと、額に手を当てて唸った。
気持ち良く眠るチビナルを眺めながら

ソファーに座ってナルトは綱手に言われた言葉を思い出してた。


【その卵はお前の心だと思え。】


自分の心だから自分に似た子が産まれた?


【その卵は強い気持ちで変化するから、気をつけるんだよ】


強い気持ちの変化って、なに?



分からなくて、カヤの言葉を思いだそうと瞼をつむった。










【ナル坊、そなたの卵はどの形になるのやら】


人間になりましたが。


【ナル坊、そなたが強く想うものぞ。強ければ強いほど強くなりおる・・・。けれど間違えてはならぬよ、間違えてしまえば──・・・】


『──・・・なんだった』


間違えたら何だって言われた?


「それにしてもこのチビ・・・シカマルにも似ているな」


『はぁ?!』


綱手の呟きにナルトの声は裏返る。


「いや、この面倒そうな顔や雰囲気がな・・・」


「綱手様、ナルト君。髪の毛を結ったら似ていると思いませんか?」


チビナルの服を縫っていたシズネが現れ、ナルトの身体は硬直した。


「ナルト、お前シカマルと何かあったのかい?」


『シカマルは関係無いってば』


「関係大有りだ!」


ばん、と机を叩く綱手。

ナルトは目をぱちくりさせた。


「お前がシカマルを強く想ったからこの子が孵化したんだ。

本来ならば動物の筈が、孵化したのは人間だ。」


『シカマルは関係無いってば!』


ああ、昨日シカマルが言ってた面倒が本当になった。



「だがいずれ知られるんだぞ?!」



俺は、人の将来までもダメにしちゃうのか?





[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!