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NARUTO



外はもう闇に包まれているから、明かりさえ気をつければシカマルの影は使えないとナルトはふんだ。


「お前なに隠してやがる」


『隠してないもんねーだ!』


べーっと舌をだすとシカマルは顔を歪ませ舌打ちをした。


「てめぇ・・・また何か面倒になりそうなの持ってんだろ!」


『面倒なんかじゃないってば!俺からすれば一番大切な物だってば!』


ぎゅ、とお腹を抱きしめる。


自分を理解しているから


誰が化け物と言う俺を愛して、子供を欲しがる?


そんなの誰も許さない。


「大切な物?」


『シカマル達は俺と違っていずれ・・・っ』


誰かを愛して

誰かの子供を作る


『俺と違って出来るんだからいいじゃん!』


「なに言ってんだ?いずれって・・・おい、ナルト!」


シカマルが考えているうちにナルトは走り出した。


ちがう

本当はあんな言い方をしたかったんじゃない


ただそう思うと

自分だけ取り残されたようで


何だか寂しくて

胸がきゅうっ、てなったんだ。


自分達の練習場にある丸太に寄り掛かって座るナルト。


『俺が、俺なりに愛せるのは・・・』


タオルの中からそっと取り出した少し大きな卵。

もし、もし出来るならば

いつか許される時が来るとしたら──・・・


『俺に似て元気で、サクラちゃん達みたく可愛くて・・・』


そっと卵を両手で包み


『チョウジみたく穏やかで、キバみたく元気で・・・そんで、シカマルみたく賢い子になれよ。』


ちゅ、とキスを落としたら卵がそれに応えるよう微かに揺れた。


『そっか、お前はお利口だね』


「俺に似てるならな。」

突然の声にびくりと身体を揺らした。


『げっ!何で来るんだよ!』


「あ?何と無く」


隣に腰掛けるとシカマルはナルトの両手にある卵を眺めた。


「・・・なんかの卵か?」


『知らない、俺次第らしいから。』


ふぅん、と返してシカマルは卵に触れて考えた。


ナルトのこの行動が何時からなのか。


間違いなく任務先で貰ったと直ぐに出るが、ナルトの言葉が気になった。


「何が俺達と違うって?」


『・・・俺は結婚しないから』


「はぁ?・・・お前なに言ってんだよ」


呆れ顔をするシカマルだが、ナルトの表情は悲しげだった。


『俺、嫌なんだ。自分と同じようになったらって思うと。』


自分で最後にしたくて


「だから結婚しねぇって?」


嘆息まじりの声に、ナルトはただ頷く。


『俺が生きている限り九尾を狙う奴はいるし、また里が危なくなる可能性だってある。

仮に子供が出来ても、俺と似たような事になるから』


化け物の子供だと


近付いたらダメだと

思い切り歯を食いしばって涙を我慢させてしまうかも知れない


「馬鹿かおめぇ、んなもんお前の子供なら跳ね飛ばすだろうよ、お前みたいに」


『シカマルは俺と違う!』


「お前が乗り越えてこれて、そのガキにそれが出来ないなんて思うな。」


そんなの分かるもんか


あんな辛い思いさせるぐらいなら


「それを乗り越えた父親の姿を、ガキに見せれるだろうが。」



『──・・・っ』


だって死ぬかも知れないのに


孤独を作ってしまうかも知れないのに・・・


「なに泣いてんだ」


『・・・泣いてない』


両手が卵を包んでいるせいで、肩で涙をぬぐった。


「その姿を見て泣いてないね・・・」


『泣いてないったら泣いてない!』


シカマルのやつ楽しんでる顔しやがって!


と頭で悪態付きながらも、シカマルの顔を見てしまった。


月明かりの下で良く見えるシカマルは

何時もと違うせいで大人っぽく、また色っぽかった。


だから嫌なんだ。

普段と違って見慣れていないから。


──・・・夜で良かった。



でなきゃ真っ赤になった顔がバレバレだ。





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あきゅろす。
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