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クライトの非日常的な日常
生還
?『治療完了しました、二、三日も安静にすれば直るでしょう…』

笑顔の紫夜は怖い…

?『僕、もう絶対怪我しないよ…』

?『私も保健室のお世話になるような怪我は避けたいですね…』

風香とイヴンは素直に意見を漏らした

裂『おば…いや紫夜姉さんは白衣を着ると性格がかわってな、普段はとても優しいんだが…』

ピクリと震えた眉を見て慌てて訂正する裂夜

風『服着ると性格変わるんだ…』

風香は笑えない、流石裂夜の血縁だ

勇『生きた心地がしなかった…』

紫『何を言ってるの?全く痛みなんかなかったでしょう?』

勇『いや、むしろあまりにも治療が荒…もが

勇気の口に布を突っ込み続きを言わせない…言ったら最後彼女の逆鱗に触れる事になる…

風『ナイスカット

紫『何がカットなの?誰かサッカーでもしてるの?』

まだ人の言葉に慣れていない為、言葉を字面通りにしか受け取れなかったのが幸いした…気付いていないようだ

風『…いえ、そういう訳じゃ…』

裂『…お喋りする時間はないらしい…何か来る…』

風『敵っ

勇『そんなっ

裂『いや、敵かはわからん、何だ…?』

イヴ『裂夜さん、みえないんですか?』

裂『何故知ってる…?』

身構える裂夜、イヴンが裂夜の能力を知るはずはない…

イヴンは壁際で動かず裂夜の様子を眺め

イヴ『落ち着いて、私は敵ではありませんから

笑顔でそういうイヴン、裂夜は構えを解かない

裂『敵じゃない=味方とは限らん』

イヴ『なら能力を使ってみればわかりますよ、私が敵ではないとね…』

まっすぐ裂夜の目を見るイヴンに対し

裂『いや、いい…疑ったりして悪かったな』

あっさりやめる裂夜

イヴ『いいのですか?私が敵だったら死ぬ事になりますよ?』

裂『お前の目に嘘はないよ、ならわざわざ力を使うのは無駄…だろ?』

イヴンに問い返す裂夜

イヴ『…そうですね』

頷き、壁から離れるイヴン

イヴ『失礼しました、少しテストしていたんですが流石学園始まって以来の飛び級天才ファイターですね、あの目を使わせようとしていたのに結局使わず仕舞いですか…』

裂『どうも話を使わせる方向に誘導してたからな、能力を知ってて誘導するのは何か意図があると感じた』

イヴンが居住まいを正し頭を下げる

イヴ『改めまして、イヴンと申します、学年は三年、歳は十七です、学園長の命で皆さんのパーティーに同行する事になりました、よろしくお願いします』

裂『学園長のか?』

イヴ『ハイ、数日前までヨルムンガルドの街で魔族の殲滅任務を受けていたんですがあるパーティーの撤退をきっかけにピタリと襲撃が止んでしまいましてね』

頭を掻くイヴン

風『あれ?ヨルムンガルドって…』

イヴ『そうです、貴女や裂夜達の作戦地です、向こうで私達のグループとご一緒しましたよね

風『えぇあのパーティーに居たの

イヴ『あの時は急ぎだったので指揮のクライト君としか話しませんでしたからね、わからないのも無理ありません

裂『そういえば居たな、応援の生徒…』

イヴ『で、貴方がたの退却に合わせ魔族達が撤退し、沈黙してしまった為、指示を仰いだら私だけ編入されましてねで…』

ちょっと言いにくそうに続ける

イヴ『私より実力の無い人間に使われるのは私の主義に反しますから、なので少しテストしてみました…すみません

裂『で、俺達はお前の期待に答えられたのかな?』

イヴ『えぇ、流石です

風『じゃあしばらく一緒だね

イヴ『えぇよろしくお願いします』

風香に握手を求めるイヴン

その握手に割り込む勇気

勇『イヴン、よろしくね』

イヴ『…よろしく、勇気』

がっちりと握手を交わす二人…ギリギリと音を立てる二人の手

この瞬間互いに強烈なライバル心を抱きつつ、イヴンを迎えた一行に迫る危険とは…

…続

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