クライトの非日常的な日常
集結
クライトの強襲から数時間、裂夜とその父親の救出に成功したと先遣隊からの連絡を受け教師達の帰還を待つ風香達後続隊は意気消沈していた
風『…』
イブ『…』
2人が雰囲気の原因だ、クライトに対するクレイブの態度が気に入らない風香、クライトを殺す邪魔をした風香に苛立っているクレイブ、
互いに視線が交わる瞬間毎に睨み合い、互いの態度を批判しあう姿はさながら子供の喧嘩だ
そんな2人を抑えつつ、瓦礫の撤去作業を進める学園長と勇気…と言っても学園長はもっぱら生徒に指示を出しているだけで風香とクレイブは勇気の管轄だった
勇(…僕にはどうしようもないよ…)
内心泣きたい思いでいっぱいの勇気…
?『泣くな…勇気…2人を今抑えておけるのはお前のみなのだからな』
勇(…ありがと…菊地夜…僕頑張るから)
勇気の内心を読んだ勇気の唯一無二の親友…名を菊地夜…腰に差してある銘刀である、と言っても刀が突然喋る訳ではなく勇気の持つ特異な魔法、【思念感知能力】…名前の通り物体に触れるとその物体や生き物の考えや言葉を理解できる能力である
勇(菊地夜…このままどうなるのかな…)
菊(どうなる、とは?)
勇(クライトの事だよ…本当に僕らを裏切って魔族に付く気なのかな…?)
菊(あれがあの男本心ならばな…)
勇気の表情がわずかに曇る
勇(もしかしてクライトは操られているの?)
菊(いや…それは無い、少なくともあの男の目には意志の光があった、操られたと言うよりもう1人奴の中にいるを感じがした)
勇(じゃああれはクライトの意志じゃ無いんだね)
勇気の表情が輝く
菊(問題はクライトに最初から我々を裏切る気があったかどうかだ…最初からあったとすれば奴の意志は少しずつ乗っ取られていくはずだ…)
勇『そんなっ』
周りの人間が勇気の突然の大声に一斉に振り向く
勇『…あ、あぁ、早く裂夜達は戻らないのかなねぇ風香?』
…慌てて取り繕うが周りは奇異の視線を注ぐ
風『だね…』
様子がおかしいと察したようだが、とりあえず話を続けたらしい
勇(…ど〜しよ〜またおかしな奴だと思われたよ〜)
菊(勇気…)
勇(何?)
菊(それとなくクライトの事を伝えておけ、次に会った時は我が真意を探る)
勇(じゃあ一度刃を合わせれば良いんだね?)
菊(ウム…クレイブには話しておけ、奴は次は全力でクライト殺すかもしれんからな…)
勇(そんな…確かにクレイブはクライトを殺そうとしてたけど…)
菊(あの男は相当魔族を恨んでいる、次クライトと殺り合えばクライトが死ぬまで戦うだろうな)
勇(…そんな…)
菊(風香には話しておけ、彼女ならば少しは理解を示してくれるはずだ、クライトの事は自分に任せろとな)
勇(…ふ…風香に)
菊(どうした?何か問題があるのか?)
勇(あの…今すごく気まずいんだけど…)
風香には今さっきあげた奇声のせいで不審な目で見られている
風『…き…勇気』
勇『ウワッ』
目の前に風香の顔がある(〃▽〃)
風『どしたの?急に考え込んで?』
勇『いや…その…』
菊(クライトの事を伝えておけ)
勇『あのさ…風香…クライトの事なんだけどね…その〜…』
風『クレイブなんであんな事言うんだろねクライトは僕らの友達じゃないか』
勇『それなんだけど…』
勇気を無視し風香は続ける
風『確かにクライトの行動は裏切りに感じたかも知れないよ…?クライト…妹さんが大切なだけなんだよ…』
風香が悲しそうな表情をする
ドガッ
入り口で土埃が舞い、視界を塞ぐ
風『何』
勇『来たのか』
…続
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