唐笠
教室
[2-B]
‥ここ、か。
途中で思わぬ事態はあったがまぁ無事についたといえるだろう。
放課後で既に誰もいない教室はやけに静かだ。
窓際の一番後ろの席をひいて腰かける。
座った瞬間、自分でも自覚はしていなかったが思っていたより気を張っていたらしい。ため息が思わずといった感じで漏れた。
そりゃ緊張するよな、ったく。
そのまま机の上に視線を滑らせると何か犬のような落書きがしてあった。そして薫というもじが彫刻刀かなにかで彫られてある。
「やっぱりここはお前の席か、」
自分の知識は正しかったらしい。
それにしてもいい席だなおい。
てか、学校の備品にガキみたいなことすんなよな‥。
「はぁ‥。」
今度は意図的に息を吐くと、深く椅子に腰掛け背もたれに体を預けた。
これからどうすっかな‥。
取り敢えず教室に来たはいいが特に何をしようかなんて考えていなかった。
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