唐笠
勘弁してくれよ
携帯のカメラを起動して自分を写す。
こちらを見返しているのは、さっきの画面に写っていたチャラい男だ。
おしゃれにセットされた茶髪。
両耳についたピアス。
緑色のカラコンもいれてある。
「っはは。」
思わず笑いが溢れると画面の中のそいつも笑った。
「勘弁してくれよ。」
まだイケメンだから良かったとでも言っておこうか。そうでもして気をまぎらわせないとおかしくなってしまいそうだ。
明らかに自分の体じゃないのにさっきの写真に写っていたやつらの名前はしっかり認識している。
思い通りに体も動く。
「っなんなんだよ!」
行き場のない怒りに思わず地面を蹴りつけた。
時間とともに不安ばかりが積もる。
俺の体は?
死んだのか?
どうやったら戻れる。
「誰か助けてくれ‥。」
あぁ左近。
俺の片割れ。
今はお前が無性に恋しいよ。
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