唐笠
おいおいどこだよ‥
さぁっ‥
頬を風が撫でていく感覚と草の匂い。
このまま寝てしまったら気持ちがいいことだろう。
だがいつまでもここにいるわけにもいかない。
名残惜しい気持ちもありながら、ゆっくりと瞼を開けると眩しい日差しが差し込んできた。
「っう、」
固くなっていた体をほぐすように伸びをする。
そして髪をかきあげた。
「あ?」
ちょっとまて、俺の髪はこんなに長くねぇ。
いや、そもそもここどこだ?
まて、俺階段から落ちたよな?
なにが風が気持ちいいだよ。
おかしいだろ。
‥取り敢えず落ち着こう。
‥今何時だ?
傍らに置いてあった携帯を開くと16:23という数字の下にチャラい男が二人の男とピースサインを決めた写真があった。
知らないやつらのはずなのに何故か俺の頭は理解する。
「朝倉、薫。」
これは、今の俺だ。
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