「ほら急げよアルミン!」 「ま、待ってよエレン!」 今日も今日とていつもの場所に向かう二人。 正直「良く飽きないな。」と言ってやりたくなるが、もしかしたら今日はいつもと違うかもしれない。 もしかしたら今日は俺達のことが分かるかもしれない。 思い始めたらキリのないことに期待してしまうのが子供心とでもいうのか……。 ーー家からいつもの丘までは決して近くはないが、結局二人はそこまで走り続けた。 いつもの木に辿り着いた二人は、待ちきれないというように根元を覗きこもうとした……が、いつもと様子が違っていた。 掘り返したような地面に、犬らしき足跡、足跡のそばに少量の血痕まであった。 その痕跡が何を意味するのか悟ってしまった二人は、青ざめた顔で穴のなかを覗きこんだ。 覗きこんだ穴の先で金色の瞳が輝いた。 穴の中から這い出てきた[それ]に当然エレンは怒り狂い、[それ]に掴み掛かろうとしたが、アルミンによって止められた。 「なんで止めるんだよアルミン?!こいつはアレを食っちゃったかもしれないんだぞ!?」 「落ち着いてエレン!!よく見てよ!」 そう言ってアルミンが両手に抱き抱えた[それ]は穴のそばに残されていた足跡よりもずっと小さいものでアルミンの両手に綺麗に収まるほどだった。 アルミンに諭されたエレンは冷静さを取り戻したが、それと同時に表情は暗くなっていった。 アルミンも同じように表情が暗くなっていく。 恐らく自分達が会いに来ていた[アレ]は他の野良犬に食われてしまって、この子犬は新しくここを寝床にしているのだろう……。 唯一の外の世界の手掛かりを失ってしまった二人は、ここに来る前の明るさも嘘のように失ってしまっていた。 その時…… 「……ッ?!エレン!!」 「?……!??」 焦ったようなアルミンの声に顔をあげたエレンは息をのんだ。 アルミンの両手に収まっていた子犬の毛が鱗のように、鉄のように、草のように変化していたのだ。 |