それでも、すき
「い、今なんて……?」
嘘だ。
だって、彼に愛想をつかれないように、私は……精一杯我慢してきたのに。
「だからよ、おめえつまらねえんだよ。大体―――――」
そこから後は聞けなかった。
でも、分かったのは。
私がフラれたのと、彼の残した言葉だけだった。
『我が儘も言わない奴と付き合ってたってつまらねえ』
それが、その日の記憶に残った言葉。
だから……私は、人と付き合うのは止めた。
一人でいれば、きっと悲しくなんてないから。
そう決めて、私は高校に入った。
誰とも関わりたくない。
そう思ってるからか、私に話し掛けてくるのは誰も居なかった。
一年、二年と過ぎ……とうとう私は三年生になった。
相変わらず、私に話し掛けてくる奴なんて居ないと思ってた。
でも、違った。
今年初めて同じクラスになった、隣の席の奴―――猿飛佐助はそんな私にあっさりと話し掛けた。
その。
あの人と同じ顔で。
あの人と同じ声で。
違うって分かってるのに、どうしようもなく、ドキドキしてしまっている自分が居るのが分かる。
何で――貴方はあの人と同じ顔をしているの?
どうして―――私に話し掛けたの?
でも、分かった事がまた出来た。

それでも、すき


(報われる、なんて思いもしないけど)


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