只ひたすらに君を… 2 「新撰組屯所…?」 必死に走り、立ち止まったその場所にはそう書いてあった。 一体此処は、何があるのだろう。 ここにいる人達は、何を護るのだろう。 僕には関係のない話だけど、何故だか気になった。 それは多分、僕にそれがないからだ。 いや、羨ましいのだ。 僕は。 護るものがあることが。 僕は空に浮かぶ雲のような存在だ。 何処に行くでもなく、ただフワフワと浮遊している。 誰かに求められるでもなく 自由気ままに 泣いて 怒って 笑って かと言って、“自由”があるわけではない。 いつも何かに捕らわれてる。 空が 表情を曇らせた。 . [*前へ][次へ#] |