小説ZS<海賊> ベイビィ・チックB サンジは日に日に大きくなってたぶん10歳くらいだ。 大きくなるにつれて共用の言葉も使うようになり、不自由はない。 ここにきて急にバラティエのオーナー・ゼフのことを話すようになった。 「ジジィはここに居ねぇんだよな?」 「そうよ。お別れして私たちと旅をしているの。」 ナミが説明するのを聞きながら神妙にしている。 「どんな気持ちなのかしら?」 「急にバラティエから連れ出されたみてぇな気持ちもあるけど、昨日までのこともわかってるよ。」 「今までの旅のことは?」 「例の、おれが19だって話だよね?そこんとこの記憶はねぇみてえだ。ほんとにおれ、19歳なのかなって。でも…。」 ナミとロビンを交互に見て、にっこりと笑う。 「でも、お美しいナミさんとロビンちゃんが嘘を吐かれるわけがありませんから。あっ、ゾロー!」 目をハートにやりかけた途中でゾロを見つけて一目散に走り寄っていった。 腹巻きの裾を捕まえてついて行く姿はやっぱりヒヨコだ。 「どうこう言っても私達よりゾロなのね。」 「ふふっ。本当に親子みたいだわ。」 憎まれ口を利きながらもゾロの腹巻を離すことはせず、すくすくと元気に成長しているサンジ。 記憶も年齢毎にあるようだし、小さくなってからのここでの記憶もある。 19歳になったらその年齢の記憶が蘇るのじゃないだろうか。ことさら心配する必要はないのかもしれない。 もしもの為に島に停泊を続けていたが、いつまでも海賊が一所に留まるのはいただけない。 ナミはルフィに出発を促し次の島へと船を進めた。 「ゾ、ゾロっ。」 昼間はピカっと眩しい笑顔で笑ったり、尖らせた嘴で生意気な文句を捲し立てていたのに。 夜、寝る時になると小さく震えてゾロにしがみついてきた。 「なんだ?なんかあったか?」 「船、揺れてる・・・・。」 サンジは怯えた手でゾロのシャツを捲りあげた。 「揺れてるのと何の関係があるんだ?」 「安心させてくれよぅ・・・。」 ちゅちゅっ。 赤ん坊の時のようにおしゃぶり代わりに吸っているのではなく、ホッとした表情で目を瞑るサンジ。 甘えたいのもあるのだろうけれど、何かに頼りたい風だ。 (なんか怖い事でもあったか?) そう言えば港を出た途端に敵襲があったが、ほんの僅かな小競り合いで終わったんでゾロは気にも留めていなかった。 ゾロの後ろに隠れているようなヒヨコックではなかったが、切り掛かられてすっ転んでいた。 危うく切られそうになったところをゾロが助けてやったのだ。 声を掛けると「平気だ、ひとりで倒せたのに!」と負け惜しみを吐きながら怒っていた。 昼間は負けん気の強い生意気なツンツンヒヨコック。 夜になったら怯えながら甘えてきた。 (乳吸われんのはアレだが・・・・なんか、良いなコレ・・・。) 乳首に吸い付くサンジを見下ろしながら、ゾロはツンデレの至福に浸っていた。 ***** (困った。) 今やサンジは15歳くらい。 家事を行う時以外は片時も離れずゾロに引っ付いてくる。 もちろん眠るときも。 寝付くまでちゅっちゅっちゅーっとやってくれるのだ。 今夜もまたゾロに寄り添って展望台に転がっている。 そ〜っと手を腹巻に入れたかと思うと、ジリジリ指を動かして少しずつ胸に向かわせる。 「もう小せぇガキじゃねぇんだ。乳を吸うな!」 さすがにもうイカンだろうと制止すれば、ちょっと泣きそうな目をして俯いていた。 や、まぁちっとなら・・・。 ゾロが絆されそうになったのを余所に、サンジは意を決したよな、それでいて頬っぺたを艶っと真っ赤にした顔で言った。 「ガキじゃねーならこっちだな。」 えいっと掛け声と共にゾロのボトムは下げられぺろりと飛び出す陰部。 こっちって何が? ゾロが疑問を投げかけた時、すでにサンジは陰茎にしゃぶりついてちゅーちゅー始めている。 「こ、コラ!何しやがるてめぇ!?」 荒げた声を出してもサンジはチラッと視線を寄越しただけで咥えたままだ。 唾液を絡めてぬるぬると淫らな動きで暖かな刺激を与えてくれる。 「らって…おっひゃいは、らめってひぅひ…。」 ぺちょぺちょと、さも美味そうにしゃぶる口元が淫猥だった。 「ん、しょっぱい〜。」 ぺいっと吐き出された陰部は濡れそぼって強烈に反り返っている。 こんなこと…させていいのか? なんで…。 ハッとイヤな考えに思い当たり眉間を寄せる。 まさか、バラティエでこんなことさせられてたのか? あんのスケベジジィが! 「おい、てめぇ。あのレストランでいつもこんなことしてたのか?」 怖い顔をしたゾロにピクンと反応した眉毛が悲しそうに下がった。 「なに?いつもって・・・・どういうこと?」 問い掛けてきたが、ゾロの言っている意味は分かっているようだ。 赤らんでいた艶っぽい表情が、急に青白くくすんでゆくのが見て取れた。 「ジジィにこんなことするかよ!」 潤んだ涙目ではなく、ぼたぼたと大粒を零し唇を噛みしめて泣き出した。 「だって、だって・・・ゾロに引っ付いて、ちゅうってしないと眠れないんだ。わかってるんだよ。おかしいってわかってるけど止まらないんだ。」 えぐえぐと泣いて裾で涙を拭いとるサンジはまだ子供なのだった。 泣かせてしまったことに狼狽えていると、ぐすんと鼻を鳴らして立ちあがろうとする。 「おい、どこ行く?」 「・・・おっぱいもダメ。ちんこもダメ。もう吸っていいとこ無いだろ?そばに居たらダメなんだ・・・。」 またまたメソ〜と顔を顰めている。 どうしたらいいんだ? べつにちんこ吸ってくれんのはイヤじゃねぇんだ。寧ろ、イイっつーか・・・。 あんまりにもイヤらしく舐りあげるんで吸ってるうちにマジでなんか出ちまいそうだ。 離れ行こうとする細く華奢な腕を慌てて引っ張り、抱き寄せる。 勢いよく胸に収まった身体はゾロよりも小さく、どうしようもないほど頼りなかった。 「あー・・・ここに居ろ。引っ付いてねぇと眠れねぇんだろ?」 「でも、ゾロは迷惑なんだろ?おれ、聞いたんだ。19歳のおれと仲が悪いんだ。」 「誰が言いやがった!?」 間近で怒鳴られて、サンジはひぃ!と縮こまる。 「ううぅ、ウソップとチョッパーが『あんなに仲が悪かったけど、こんなになるなんてなぁ〜』って・・・。」 「あいつら・・・。」 余計なこと言いやがって、明日の朝一番でマストに逆さ吊りの刑だ! チョッパーはあのままじゃやり難いから人型になってもらおう! ゾロが明日の計画を立てていると、サンジが胸を押して逃れようとするので慌てて腕に力を込めた。 「離せよぉ・・・ぐすっ。おれなんか嫌いなくせに、仲が悪いくせに、うっうぅっ。」 「今は仲悪くねぇだろ?」 「・・・おれのこと嫌いじゃねぇの?」 「ああ、まったく、露ほどにも嫌いじゃねぇぞ。」 可愛いと思っているし、愛おしくて堪らないのだが、そんなことが出るような柔らかい口ではない。 きゅうと抱きしめてやれば、もじもじしながら頬を赤らめた。 「あのさ、じゃあ。吸ってもイイ?」 乳首とちんこは諦めたようだったが、いったいどこを吸おうというのか? 「ココ・・・。」 細い指でゾロの唇をなぞる様が色っぽくて、なのに瞳はあどけなく。 ゾロは目眩を覚えて黙り込んだ。 こんな子供のくせに、何だってこんな色気がダダ漏れてるんだ? 「・・・元に戻ったら、忘れるから。今だけで良いから、おれ・・・。」 黙り込んだことを拒否されたと思ったのか、サンジは必死で縋りつく。 その言葉にゾロは耳を疑った。 「は?てめぇ、忘れちまうのか?!」 「う、うん。たぶん19歳に戻ったらこの数日間の記憶はなくなると思う。この頃の記憶が少し曖昧になってきてるんだ。」 そんな・・・。 せっかく刷り込みをして、ヒヨコックをここまで育てて来たってのに。 成鳥コックはおれに懐いてくれないのか? 「な?だから安心してくれ。元の歳に戻ったら、もうこんなことないようにするから。」 忘れるんだから・・・。 近づく赤い唇にゴクリと喉を鳴らしつつも、ゾロは迷っていた。 このヒヨコックはコックではないのだ。 もうすでにいろいろされてしまったというか、させてしまったけれども・・・。 それでも、狂暴コックの知らぬところで、刷り込まれた無垢なヒヨコックをこれ以上穢してしまってはあまりにも卑怯じゃなかろうか。 懐いててくれれば好いと夢見てはいたが、それはあくまでもこのヒヨコック込みで、あの19歳コックになることが前提だ。 いつも使わない脳をぐるぐるとフル回転させ、ゾロはガバっとシャツを捲くりあげた。 「いいぞ。吸え!」 「え?でも・・・。」 乳を吸われたのならコックを辱めたことにならないだろう。 どっちかって言うとゾロの方が辱めを受けている。 コックの唇は元に戻ってから、正々堂々と挑んで頂くことにしよう。 戸惑いながらサンジはそっと唇を寄せて乳首を啜った。 ちゅぴっ。 くすぐったいような感覚に合わせて、鼻先で動くサンジの髪からほの甘い香りが漂う。 ゾロの胸に手を添えて慈しむように傷を撫でた。 ちゅるんと口を離して見上げるサンジの目に涙が溜まっている。 「おれのこと、忘れないで。」 青い目からころりと涙が落ちた。 「おれはこの数日間を忘れちゃうだろうけど、ゾロは忘れないで。おれはあいつとは違うんだ。」 「ゾロが好きなんだ。大好きだ。」 サンジの素直な言葉にゾロも応えてやりたくなる。 「おれもおまえのことが好きだぞ、ヒヨコック。」 「・・・・・うん。ありがとう。」 パタパタと落ちる涙に吸い寄せられるように瞼に唇を押し当てた。 コックとは違うけれど、ヒヨコックが愛おしいのも本音だ。 19歳のサンジにも伝えたい大事な思い。 翌朝、リビングに集まった数人がヒソヒソと井戸端会議を始めていた。 「ねぇ、最近ブルックが変なのよー。」 「あいつの変じゃないとこって何処だよ?」 「パンツパンツってうるさいのは相変わらずなんだけど、なんだか物忘れが激しいってゆうか。」 「ボケちまってるってことか?あいつも骨とは言え、老人だからな・・・。」 「うん、おれもちょっと心配で検査をしたんだ。でも骨はいたって元気だし、骨密度なんかスッゲーんだ!」 「脳もないのに物忘れってミステリーね。フフっ。」 近頃のブルックについて語っている声をぼんやりと聞きながら、ゾロはいつも使わない脳みそを使っていた。 ヒヨコックは居なくなるという・・・。 ほんの十数日間の事だが、愛しんで育ててきた。 出ないとはいえ、乳も与えてきた。 ヒヨコックだってゾロの事を大好きだと言ってくれた。 もとのコックに戻って欲しいけれどヒヨコックにだっていて欲しい。 でも、ゾロには術がない。 どうすりゃいいんだ・・・・。 パタパタと忙しげにキッチンで動き回る、ちょっとちいさなコックをしばらく見つめ。 ゾロは深いため息をついた。 【ベイビイ・チックB:終わり】 *********************** お読み頂きありがとうございます。 あまりにも久しぶりのお話更新で申し訳ありません。 間を空けすぎてどのように書いたらいいのかもわからず 文章として成り立っているのか・・・すごく心配です。 それでもお読み下さるレディの優しさが身に沁みますよ〜(T_T) サンジおっきくなってきました。 やっぱりおっぱい吸ってます。思い余ってチンコも吸いました(笑) このままで行くと19日目にサンジに戻ってヒヨコックが居なくなるようです。 ヒヨコックの記憶が薄れてゆくのをどうすることも出来ずに見守るゾロ。 つ、次で終われるといいなー! (ウソップとチョッパーはとりあえず許してもらえたようです。) ここまでお読み下さりありがとうございました。 2013.10.18 [*前へ] [戻る] |