D.C.U〜ダ・カーポU〜オリジナルストーリー 本命 義之と一緒に音楽室を出てから、しばらくして杏と茜に報告した。 とても喜んでくれた。 もちろん感謝の気持ちも伝えた。 桜内義之。私の恋人。 でも一つだけやっぱり確認したいことがある。 「あのね、義之…。」 私が義之に話し掛けようとした時だった。 「弟ク〜ン、聞いたよ。杉並クンにチョコ渡したって本当なの?」 「に、兄さん。まさかそんな趣味だったんですか? 女の人よりも男の人が好きだったなんて…。」 噂を信じたくない音姫先輩と、噂がかなりショックな様子の由夢ちゃん。 「いや、だから違うから。 あれはまゆき先輩から杉並に渡すように頼まれたものだから。 2人だって朝、俺がまゆき先輩から預かっていたところ見ただろ?」 必死になって音姫先輩と由夢ちゃんに説明する義之。 これはこれで結構大変そうだ。 「さっきだって、さくらさんに呼び出されて同じことを聞かれて、説明に大変だったんだから。」 義之の弁明がなぜかかわいらしく思えておもしろい。 「さくらさんも「ボクは義之クンがどんな人を好きになっても反対しないから」なんて言いだすし、大変だったんだぞ。」 ますます義之がかわいらしく思えておもしろくてたまらない。 「弟クン、本当に本当に杉並クンに告白したんじゃないよね?」 「兄さん。杉並先輩じゃなくて板橋先輩ってことはないですよね?」 まだまだ疑っている音姫先輩と由夢ちゃん。 「自業自得ね。普段からの行いの結果よ。いっそのこと杉並と付き合えば?」 「私は別に義之クンと杉並クンが恋仲になっても友達はやめないよ。」 いつのまにか現れた杏や茜も好き勝手に義之をからかっている。 私の大好きな人はこんなにもたくさんの人から愛されているんだ。 それが凄く嬉しい。 ようやく音姫先輩と由夢ちゃんを説得してから、杏と茜、義之との4人で教室に戻った。 これからは大好きな人と恋人同士として時間を過ごせる教室。 そこにはまだ渉クンが残っていた。 「義之〜、俺にも杉並みたいにチョコをくれよ〜。」 子猫みたいに義之にすがる渉クンを見て杏が私に囁いた。 「渉の本命はやっぱり義之なのかしら? だとしたら小恋、強力なライバル登場ね。」 「えっ?まさかね〜。ははは…。」 「小恋ちゃん、世の中に絶対なんてないんだよ。」 茜も私に囁いてくる。 私の恋はこの先どうなるんだろう? 本当に杉並クンや渉クンがライバルになるのかな? 義之、私は信じてるよ。 〜おしまい〜 [*前へ] |