「ごめん、愛…」
「仕方ないよ、大丈夫?」
「ん…」
額に触れる愛の手が冷たくて気持ちい。心配そうに俺を気遣ってくれる愛の優しさが嬉しくて…、熱だしてよかったかもなんて思った。
「きっと疲れが溜まってたんだね」
ほらツナってよく仲裁はいるから大変だもんね、と続ける愛に確かにとか思いながらも、でも結局は愛だし、と笑い返す。
実は俺、沢田綱吉は愛と同室を勝ち取ったにも関わらず、その晩に熱を出して…今に至る。
やっと薬の精製っていう光が見えてきたのに、俺のせいで愛の時間削っちゃってんだよな…。しかも愛のベッドまで占領しちゃってるし…。
「あ、あのさ…愛」
「んー?」
俺は、これ以上迷惑かけられないと思って愛を呼べば、笑顔のまま首を傾げてくれて、
「俺は大丈夫だから、九条さん手伝ってきなよ」
本当は傍にいて欲しいなんて、そんなガキみたいな事言ってらんないことくらい分かってるし…。
「何言ってんのよ、今日は嫌って言ったってツナの傍離れないからね」
愛のことだから手伝いに行くかなと思って目を伏せたその時、コツンと軽く額を小突かれて、当たり前のようにそう言われた。
「でも…」
「薬の精製は早くやったって同じ。ツナの看病しながらだってちゃんと出来るから」
ツナはそんなこと心配しなくていいんだよと笑ってくれた愛は、強いなと思う。
だってさ、看病しながらやるよりそっちに集中した方が捗るに決まってる。それでも俺を優先して自分の事を後回しに出来るんだから…、やっぱ凄いよ。
「ありがと…」
「!─どういたしまして」
今日一日は愛といられる。俺はそれが一番の回復法だと思った。
けど、さっきから骸と白蘭がこっちを気にしてるのは視線から痛いほど伝わってくる。
わざわざドアの隙間から見てるくらいだもんな。治ったら即行殺られそう…。
....
(と、言うわけでお粥作ったげるね)
(え!愛が作れんの!?)
(失礼だな!出来るよっ)
(う、うん…期待しないで待ってるよ)
(ツナ酷いッ!)
───────
(愛チャン独り占めだねー)
(治ったら覚えておきなさい(苛) |