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03:(独占欲強いんだからね?)

「ん……」


あー、嫌な夢見たな…。そういえばあれからもう、大分たって、残された時間は9日なんだったっけ。隣で眠る愛チャンの寝顔を見ていると、どうしようもなく切なくなる。


こんな傷ついてる子を…、増してや愛してるのに、置いてなんかいけない。


「んっ」


僕が愛チャンの髪を撫でると、くぐもった声を出して布団にもぐった。


ああ、襲いたくなる(危)


こんなに一人の女(愛チャンなんてまだ高校生なのに)に夢中になるなんて、こっちに来たばかりの時は思いもしなかったのにな…。一度惚れちゃうと歯止めが利かないよ、僕嫉妬深い上に独占欲強いんだからね?


絶対、君の笑顔も全部、僕だけに向かせるから…。


そんな事を考えていたら、リビングの方はだんだんと騒がしくなってきた。もう、七時だからね。


「愛チャン、起きないと遅刻だよ」


だからそろそろ起きてもらわないとね、と愛チャンの体を揺するけど、顔を歪めてお腹を抱える彼女。


「愛チャン?お腹痛いの?」


「……うっ、白蘭、さん?」


目を開けた愛チャンは、僕を見るなり泣きそうな顔をする。


「どうしたの」


ポンポンと頭を撫でると、何故か顔を赤らめて俯く。


「あ、あの……っ」


「うん?」


言い辛そうに目を泳がせながらいた愛チャンは、次の瞬間起きあがって、僕に謝ると部屋を飛び出した。


「?……」


「あ、愛おは……?」


「どうしたんですか、愛」


「や、それ俺が聞きたいし」



リビングも飛び出したみたいな愛チャンに、聞こえた会話。気になった僕は、リビングまで出ると綱吉君と骸君に¨何したんだ¨って目で睨まれる。


「何もしてないよ」


「じゃあ何で愛、部屋飛び出して来たんだよ」


「しかも泣きそうでしたけど」


だから僕何もしてないって。この間の骸君みたいにお風呂場で、抱きしめたりしてる方がよっぽどでしょ。


「はよー……って何かあったのかよ」


そんな僕らの会話に遅れて混ざってきた九条君に、益々状況悪化。


早く戻ってきてよ、愛チャン。




***

「あ"ー……」


朝、目が覚める寸前に痛みだしたお腹。うん、分かってたんだけど…、久しぶりに生理痛付きの生理きたぁあ!涙


トイレに飛び込んでぐたっとするあたし。何か変人みたいじゃん。お腹…ていうか下腹(?)が痛い。薬なんて遠の昔になくなってるし、買ってこな…、


「っー……」


痛い痛いっ!!
いつまでもトイレにこもってたら不審に思われるし、ちゃんと皆に説明して、学校休む!


あたしは、とにかくトイレから体を引きずりリビングに戻ったあたしだった、んだけど、そこに広がっていた光景は、余計にあたしのお腹を痛くさせるモノで。


「あ、愛」


「何で、朝から喧嘩勃発してんの…?」


あたしにいち早く気づいて近寄ってきてくれたツナに、そう問いかけると、ちょっと困ったような顔をしてから教えてくれた。


「愛に子供出来たんじゃないかって…」


「…はい?」


ツナの言葉が一瞬理解できなかった。だって子供出来るようなことしてないもん…。


目の前で言い合い+乱闘騒ぎになってる骸さんと白蘭さんを目で追いながら、必死にその言葉の意味を考えていた。


「違うってのは分かってるんだけど…、愛どっか具合悪いの?」


「え、あー…その、女の子なら誰しもある一週間の恐怖というか…」


ツナにそんな心配そうな顔されたら言わないわけにいかないじゃない。だけど、ストレートに言えるわけもなくて…。自分でも何を言ってるのか、途中で分からなくなった。


「あ、あのさ…それって、…生理ってやつ?」


「っ…声に出して言わないでよーっ」


ツナ君、あんな意味不明な説明で理解してくれたのはありがたいですけど、口に出して言われたら、こんな男の子ばっかりのところだし、恥ずかしいっ。


しゃがみ込んだあたしに慌てて謝るツナ。骸さんと白蘭さんの喧嘩はいつの間にか終わっていて…、何だか安心したような表情。いや、生理だからって安心していいわけじゃないんだからね?薬ないし、痛いし、学校だし…。


「愛、学校休むか?」


「え、うん…無理」


「ん、生理痛の薬買ってきてやろうか?」


どこにいたのか、ひょっこり顔を出した九条君は意地の悪い笑みを浮かべて、ニヤリと笑った。絶対楽しんでるしっ。


「いいっ!…寝てれば治るもん!」


治らないのに、と心の中で自分にバカと連呼しながら、俯いていると、ポンっと優しく頭にのる温かい手。


「!…白蘭さん」


「今度こそ僕が休むからね」


「え、でも…」


「愛チャンいない学校なんてつまんないから」


くしゃくしゃと頭を撫でてくれる白蘭さんに、あたしは本当に傍にいてほしいと、甘えた考えが頭をよぎる。


「白蘭を愛と二人きりで残すのはどうかと…」


「んー…、でも俺、骸と二人残すのも嫌なんだけど…」


「最近、性格悪いですよ綱吉」


「そんなことないよ」


あたしは、誰かと二人きりで残るのはどちらにしろ嫌だな。また、ツナみたいなことになっちゃったら、無力なあたしは守られるだけ。もう、あんな思いはしたくない…、誰も傷つけたくない。


「なら、俺が白蘭と残る。薬の精製も、愛が本調子でないとはいえ、出来ねぇわけじゃねーだろ?」


「うん、まあ…」


お腹温めて、じっとしてたらなんてことはないと思うんだけど…。


「よし、なら2人は学校行って来いよ」


「…早めに帰ってきます」


「大丈夫ですよ」


心配そうにしてる骸さんに、出来る限り笑顔を作ってそう言えば、無理しないでくださいって、頭を撫でられた。


「む、骸!遅刻!」


「もうこんな時間でしたか…、じゃあ後は頼みましたよ」


「愛、ちゃんと休んでよっ」


ツナの声にバタバタと慌ただしく家を飛び出した2人に行ってらっしゃいと声をかけてから、食卓につく。


「ご飯食べてから、一回休んだ方がいいよ」


「あ、はい」


「薬の精製は午後からにしよーぜ」


「うんっ」


2人の優しさが凄く嬉しくて、いつもは五人でとる朝食も今日は全然寂しいなんて思わなかった。




....
(あの二人、お昼まで持つかな)
(無理だろ(笑)
(…どんな推測ですか、それ)


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あきゅろす。
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