「ツナ、お粥出来たよ」 「ん、…」 怠いな……、そう思いながらも体を起こして、愛の持つお粥に目を向けた。 「食べれる…?」 「うん…」 愛は俺の隣まで来ると、小さな椅子を引っ張ってきて、腰掛けた。 「食べさせてあげよっか」 「なっい、いいよ!」 「照れちゃって」 「照れてなんかないからー!」 クスクス笑う愛からお粥を取り上げて、口に運ぶ。 「え…」 「どうだ、期待しといて損はないだろー」 「あ、うん」 ニコリと笑った愛が言ったとおり、いつもの料理からは比べられない程いい出来だと思った。でも何でお粥だけ…。 「あたしね、パパによくお粥作ってもらったの」 「……うん」 ¨パパ¨って事は実父だよな…。懐かしそうに話し出す愛に相づちを打ちながら、お粥を食べる。 「料理は得意じゃないけど、風邪とかで寝込んじゃった人には、何かしてあげたくなるってパパに相談したんだ」 そうしたらね、と愛は笑ってから嬉しそうに話し出す。そんな愛が可愛いなって思ってる俺って重傷? 「だからお粥だけはマスターしたの」 「!そ、そうなんだ……」 何か心臓ヤバイんだけど…、いつもこんなに近くで二人きりになることないからかな。 「ツナ?」 急に黙り込んだ俺を不思議に思ったのか、首を傾げる愛に、いつもは言えないような事を口走っていた。 「やっぱり愛は、笑顔が一番似合うよ」 「え?」 って、何言ってんだ俺ー! 熱で頭イかれちゃってんじゃん! 一瞬きょとんとした愛は、見る見るうちに真っ赤になっていって、俯いてしまった。 ど、どうすんだよ!気まずいじゃんか! 「あ、あの愛…」 「ツナだって…」 「え?」 俯いた愛が急に顔を上げて、俺の頬に手を伸ばしてきた。 何する気だ!と思ったらそのまま横に引っ張られた。え。 「笑ってるのが一番だよっ」 「っ!」 照れたようにハニカむ愛に、引っ張られた頬の痛みより顔に集まる熱の方が何倍にも勝った。 端から見たら二人して赤面して何やってんだ、と思われるだろうけど、俺にとったらこの時間が何よりも幸せに感じる瞬間だった。 こんな時に何だけど、照れてる愛も可愛いんだよな。 だから俺はもちろん、愛も骸たちも、誰一人として明日起きる大惨事を知る由もなかったんだ…。 バンッ! .... (綱吉君、愛チャンにくっつき過ぎだよ?) ((?!)) (愛も愛です。何照れてるんですか) (照れてなっ!) (何だ?愛の本命ってそいつなわけ?) (ちょ、え!(そうだったら嬉しいけど) (まさかね?そんなの許さないよ) (な、何なんですか三人とも!) |