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08:(買い出しへGo!)

「さて、と…買い物行きますか!」


「「「?」」」


朝食を食べ終わり、後片づけをし終わったあたしを三人がは?と言う感じに見て首を傾げる。


「洋服、食材、布団、その他諸々…必要でしょ?」


あたしが指折りにそう言えば、やっと納得したのか口々にああなどと言葉をこぼした。


「でも、お金…」


ツナが心配げに聞いてくるから、あたしは笑顔を返して大丈夫と告げた。それよりもお金を心配してくれるツナの優しさに感動しちゃったよ!


「貴方のどこにそんな大金があるんですか」


疑いの眼差しであたしを見つめてくる彼、骸さん。確かに、あたしは一般庶民の一人に過ぎないけど、アイツは違うから。


「あたしの通帳にいらないくらいお金あるからさ!余裕だぃ!」


「余裕って…」


本当、いらないお金。あんなの全部無くなっちゃえばいいんだ。毎月決まった額が振り込まれるそれに、あたしは一度も手をつけたことがない。だからもし使うなら、少しでも役立てる人の為にって決めてた。


「愛?」


「ん?あ、じゃ行こう!」


あたしとした事がイヤな事思い出しちゃった。三人の訝しむ表情を見て見ぬ振りをした。



***

行こうとは言ったものの、この格好のまま外に出すと何かと問題があるな。


「あの…白蘭さん」


「ん?」


「その隊服の下ってTシャツとか着てないんですか?」


「聞き方イヤらしいんだけど愛チャン」


「なっ」


そんなイヤらしい言い方してないんだけど!頬に熱が集まるのが分かって、慌てて両手で頬を包む。


「着てる着てる」


そんなあたしを気にするでもなく、白蘭さんは手をヒラヒラと振ってそう言いながら、自分の部屋(貸した)に向かう。


「ちょ、服どーするんですか!」


「適当でいいよ」


パタン────


パタンて…、適当でいいって…!
こ、困る!あたし貴方の好みなんて知りませんからー!


「ど、どうすんのよ!」


すっかり冷めた熱は、別の意味で増す。


「ああいう人ですからね彼は」


「え…」


「我が儘で、気まぐれで何を考えてるか分からない。その上この僕を死に追い込んだ…。上に立つ者としての実力もあるって事ですよ」


悔しそうに歪んでいく彼の表情に、何故だか放っておけないって気になって…。


「骸さん…」


「骸…」


ツナと二人、彼の名を口にして悔しがる骸さんを静かに見つめた。あたしには分からない世界で、死と隣り合わせの生活。


その背に背負う辛い過去、
その中で貴方は何を得た?


「骸さんは、あの時死にたくないって思ったでしょ?」


「──!」


「愛…?」


「――あ、干渉しないんだったー!すいません今の流してください!」


驚き目を見開く彼に慌てて両手を前にして勢いよく振った。つい、口が勝手に…。


「いえ、だが貴方も言ったとおり僕にはあまり関わらない方がいい」


「?!──…ご心配なく」


そう言った骸さんは、冷たい空気をまとっていて、これ以上の干渉は認めないと言われてるみたいで、あたしは口を噤む。


「─では僕も適当で…」


「それは困りますんで拒否権発動させますね」


そんなあたしを横目に、部屋に戻ろうとする彼の服を掴んで、ニッコリ笑い、彼の言葉を遮ったあたしを見てポカーンとする二人。


「白蘭さんはともかく骸さんまでいないと大人の服分からないじゃないですか!」


ツナはまだ大丈夫かな。
弟と同じくらいだし…?


「ならばあの男を連れていけばいいでしょう」


「さっき我が儘で気まぐれって言ったの骸さんですね」


少し嫌みっぽく言ってみたらうっと言葉に詰まったような彼にもう一押しと口を開く。


「それにツナ一人じゃ可哀想でしょ」


「───」

「えっ」


ポンッとツナの頭に手を置いたら、じーっと横目でツナを見つめる骸さん。あーあ、ツナ怯えてるって。


「馴れ合うつもりはないと言ったはずですが……」


「ただのお買い物です!それに向こうついたら自由行動ですから!」


そう言ってニコッと笑えば溜息一つの骸さん。そして、骸さんには悪かったけど、あたしの父の服を貸して着てもらった。


「小さいですかね?」


「大丈夫ですよ」


ワイシャツにジーパンというラフな格好の骸さん。何だか紳士的ー!


「じゃあ、白蘭さん!脱走しないで下さいね!」


「多分ね」


「もう…」


ドア越しに聞こえた声に半ば呆れながら、二人が待つ玄関へと急いだ。きっと彼は自分にとって利用できる人間の側を離れたりはしないだろうから。





















「ワォ、今日はタイムセールですね」

「タイミング悪いですね」

「凄い人……」


三人一緒にこぼれた溜息。特に女の子が多いな……、これは困った。そう思いながら、チラリと骸さんを見上げたらバチッと目があってしまった。


「何か?」


「骸さん気をつけて下さいね」


「はい?」


何にとでも言いたげな表情だったけど、敢えて口にしなかった。だって言えないじゃない。格好いいから女の子に囲まれたりしないよう頑張ってだなんて。


「愛、自由でいいんだよね?」


「あ、うん!あたしは食材の方行くからさ!後で迎えにくる」


ツナの言葉にニコッと笑って、骸さんにもそう伝えると買い物の為その場を離れた。




....
(別に、迎えにこなくてもいいんですがね)
(骸、見えなくなってから言っても意味ないって)


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あきゅろす。
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