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03:(先が思いやられるね)

家を出る前に、白蘭さんとツナの姿を幻覚で誤魔化して、可愛いって褒めたのに、白蘭さんはあんまり嬉しそうじゃなかった。何でかは分かんないけど…、今はそれより──。


「着いちゃった…」


目の前に見えた学校にどんどん落ちていくテンションは、もう最悪だね。


「愛ー!」


「うわっ?!」


とうとう来てしまった学校の校門前で、複雑な心境のあたしに後ろから飛びついてきた美和。ってことは皆いる……。


「よお、六道」


「おはようございます」


和磨が骸さんに挨拶して、笑顔を返す骸さん。何か不思議な光景だなあ、なんて暢気なこと考えてると、美和が不思議そうにあたしの後ろにいる二人に目を止めた。


「あれ?」


「!──」


パチンッ────
バレると思った瞬間、あたしの隣で響いた指を鳴らす音。


「沢田じゃん!やっと学校出てきたんだね」


え───?


「え、あっうん」


ツナは美和の言葉に驚いていたけど、話を合わせて頷いていた。


全然怪しまれなかった…?


あたしはさっき指が鳴った方を見上げると、笑顔を向けてくれる骸さんがいて─。


「よかったー…」


「何がよかったんだよ」


「は、颯斗…おはよ」


「おう」


あたしも笑顔を返して全身で息をついた。その時、横から顔を出した颯斗に挨拶をするけど、何か頭の中で引っかかってる事が──…。


あ…、そうか。九条君の言ってた黒幕のこと、それが今、あたしの目の前にいる彼かもしれないんだ…。


「何だよ」


「あ、ううん」


まだちゃんと聞いた訳じゃないし、本当かもわからないんだから変に疑っちゃダメだよね。


「つかさ…あれ誰だよ。また転入生か?」


「え……あっ」


颯斗があたしに耳打ちしてきた事に、今まで忘れていた白蘭さんの存在を思い出してハッとなる。


「あのね、留学生なんだって!ね!」


「Sia separato dai mio ai」
(僕の愛チャンから離れてよ)


はい?
えっ今のイタリア語?


笑顔で何かを言った白蘭さんに、颯斗は眉間にしわを寄せた。




***

「…彼、イタリア語分かるんですか?」


「ん?ああ、アイツ、イタリアに留学してたからな…」


「──(それはまた…」


僕の愛から離れろ。とは、あの男らしい独占欲丸出しの言葉ですね。


一つ収穫もあったことですし、そろそろ助けてあげましょうか。


「Per favore non provochi un problema dai primo giorno」
(初日から問題起こさないでください)


「骸さん?」


「まだ何もしてないよ」


「する前に止めましたから」


あたしの前でイタリア語使わないでよ;意味がチンプンカンプンなんだから…。


未だに黙って口を開かない颯斗に、美和にいじくられてるツナ。睨み合う白蘭さんと骸さん。


何か、これから大変かも……。




....
(よ、愛)
(九条君、おはよう)
(朝から賑やかだな)
(あ、はは…)

(ちょ、ちょっと愛!)
(は、離れろバカ!)
(何、普通に会話しちゃってんだ!)

(あれが先に愛チャン助けたって子?)
(ええ…(何馴れ馴れしく(苛)
(何か面倒見良さそうな人だね…)

((───はあ、))


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あきゅろす。
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