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11:(全ての元凶)

紫苑さんと勉強を始めて暫く、何となくいつもと違う雰囲気に動かしていたペンを止めて、紫苑さんを見上げた。


「どうかした?」


「な、何か…いつもと雰囲気違う気がして」


「…誰が?」


「え…?」


まただ、──そう、思ったあたしの読みはあたり、紫苑さんの声が低くなって笑みが崩れ、冷たい表情に変わる。


「お前の親も不用心だよ」


¨お前¨って───…、
いつもの紫苑さんならお前なんて絶対言わないし…、そんな言葉遣いしない。


おかしいって気づいてたはずなのに…、この時のあたしは金縛りにあったみたいにその場を動けないでいた。


「紫苑さん…?」


「俺だって男だよ…愛チャンに手を出さないなんて保証。どこにもないんだけどな」


「何言って…」


向かい合わせに座っている紫苑さんが何だか怖くなって、あたしはズルズルと後ろに下がる。


「…あっ」


ドスッ────
後退しすぎて躓いたあたしはそのままベッドにひっくり返った。危機感を感じて、慌てて起きあがろうとしたけど、上から覆い被さってきた紫苑さんに退路を断たれた。


「はい行き止まり、残念」


「紫苑さっ」


「これも勉強。痛くても我慢な」


「!いやっ!!」


これから何をされるかなんて、中学生だったあたしにだって分かる。足をばたつかせて離れようともがくけど、女のあたしが男の人の力に適うはずもなかった。


「煩い」


「うっんっ」


お腹にめり込んだ紫苑さんの拳に、無理矢理重ねられた唇。痛くて、気持ち悪くて、あたしの口の中に入り込んできた彼の舌を思いっきり噛んだ。


「って…」


「ケホッ…うっ…やだ、紫苑さんっ!」


唇が離れ、一気に酸素を吸い込んだ所為でむせながらも、紫苑さんに離してと叫ぶが、パシッという音と共に頬に走る痛みを感じて、叫ぶことを止めた。


「いたっ…」


「やめろって言われてやめるバカいないだろ。抵抗するならもっと痛いからな」


脅しをかけられて、服を破かれたあたしは、ただポロポロと涙を流すことしかできなかった。信じていた人にこういう事をされるのが、増してや大好きだった紫苑さんにされるのが、この時のあたしの抵抗力を全部奪っていったのかもしれない。


ヌメヌメして気持ち悪い感触が全身を這っていく感覚に、押さえつけられた手首がキリキリと痛む。


こんな事になるなら家族と一緒に里帰りすればよかった──。


もう放心状態になってきたあたしはぐったりとしていて、体に力が入らなかった。それを見て紫苑さんが何か言った言葉でさえ、もうあたしの耳には届いていなかった。


「!──っぁああ!!」


でも次の瞬間走った激痛に、声にならない叫び声をあげてしまう。


「何だ、やっぱ処女かよ」


「いった!痛いっ!!やだ!やめて!!」


紫苑さんは楽しそうに笑っているけど、あたしにはそんな彼の顔を見るほどの余裕はなかった。


下腹部に走った激痛は、彼が動く度に痛みを増し、異物を受け入れたことのないソコからは処女膜が破れ血が流れ出てきた。


さっきまでのぐったりしていた体は、その痛みに弾かれたように抵抗力が高まり、あたしは必死に離れようと紫苑さんを押し戻す。


「痛いっ!紫苑さん!!抜いて!!」


「無理」


だが彼がそんな要求をのんでくれるわけもなく、痛みは増していくばかり。


その絶望的な状況で、幸か不幸か玄関で物音がした。そしてその足音は二階に近づいてくる。


「愛、紫苑はもう帰ったのか?」


パパ…、先に帰ってきてくれたんだ。コンコンッとノックされる扉に、痛みに耐えきれなかったあたしは状況を気にする余裕もなく、精一杯の力で叫んだ。


「パパ助けて!!」


「ちッ…」


舌打ちした紫苑さんだったが、次の瞬間開いた扉から飛び込んできた父を笑顔で迎えた。


「!紫苑!ウちの娘に何をしてる!!早く離れなさい!」


「無理ですよ。愛のナカ凄い気持ちいから」


「っ」


そう言ってあたしの頬を舌で舐めあげると、さっきより奥に突っ込んできた。


「いぁああ!!っ」


「紫苑!!」


あたしの叫び声を合図に、父が紫苑さんを引き離そうとこっちに近づいてきた。だけど、それが計算内だったのか、あたしのベッドにいつの間にか隠してあったナイフを思いっ切り父に突き刺した。


「っあ」


「!パパッ!!」


「無力だな…アンタの大事な娘も何もかも俺が全部もらってやるよ」


父の返り血があたしに飛んで、父はそのままお腹を押さえて倒れ込んだ。紫苑さんは持っていたナイフを放り投げて、あたしに飛んだ返り血を舐めとる。


「邪魔者は消えた。続けようか」


「人殺し!離して!!パパを返してよ!!!」


「フンッ」


だがその後、その行為はあたしの意識が飛ぶまで続けられて、目が覚めた先は病院の一室だった。




....
(精神、肉体双方のダメージと)
(あたしの家族が崩壊した瞬間)


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あきゅろす。
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